7thシングル『Melody』リリースインタビュー
J☆Dee'Zの楽曲はなぜ大きく進化した? Soulifeとメンバーが明かす“制作の裏側”
J☆Dee'Zが7月19日に7thシングル『Melody』をリリースした。同曲はLittle Glee Monsterの楽曲や清水翔太のアレンジを手がけ、5thシングル以降彼女たちの表題曲に関わっているSoulifeの手によるもので、生楽器によるドッシリとしたグルーヴ感と3人のコーラスワークが上手く絡み合った1曲に仕上がっている。J☆Dee'Zの楽曲はここ1年ほどで大きな進化を遂げている(参考:NY武者修行を経て、世界標準のガールズ・グループへーーJ☆Dee'Zが遂げた進化のウラ側に密着)が、その要因とはどこにあるのだろうか。今回はメンバー3人に加え、Soulifeの佐々木望と河田総一郎に取材し、2人がグループに関わった経緯やSoulife楽曲の“らしさ”、彼らがJ☆Dee'Z楽曲に込めた工夫などについて、たっぷりと話を訊いた。(編集部)
「 “乗り越える”感じの内容だと、メロディでギリギリのところを歌ってもらうようにしている」(河田)
ーーSoulifeのお二人は5thシングル表題曲「Dream Arch」からJ☆Dee’Z楽曲に参加しています。最初はJ☆Dee’Zについて、どのような印象を持っていましたか?
佐々木望(以下、佐々木):最初はレーベルのディレクターから「とにかく良い曲をよろしくお願いいたします」と紹介してもらって(笑)。もちろんそれだけじゃなくて、本格的なダンスをするグループなので「踊りながら歌うこと」を前提にしたもの、ライブもこれまではオケを使って歌も混ぜていたけど、それも止めさせたいと。楽曲のリファレンスもいただきつつ、カッコいいものを作ろうということで進み始めました。
河田総一郎(以下、河田):歌ってきている内容も恋愛が多かったのですが、このタイミングではメンバーの想いを乗せたものにしたいとリクエストをいただきました。メンバーと会ったのは、昨年の5月、「Dream Arch」のプリプロ現場が初めてですね。
ami:確かそのとき、「Fun Time Funk!!!」のプリプロもやりましたよね。
ーー「Fun Time Funk!!!」はそのころからあった楽曲なんですね。最初に「Dream Arch」を受け取ったとき、J☆Dee’Zの3人はどう感じましたか?
Nono:今までは割とEDM風のトラックが中心で、歌に関してもみんなでユニゾンを歌うものが多くて。ハモりもこのタイミングで初めて挑戦したんです。この曲をもらった時に「これからは生歌オンリーでやっていく」と聞いてビックリしました。「自分の声がダイレクトに聴こえちゃうんだ!」って。
MOMOKA:ボーカルエフェクトも結構使っていたので、それがなくなったのは驚きでした。「これ、本当にJ☆Dee’Zなんだ!?」みたいな。
ami:あと、歌詞をよく考えるきっかけにもなりました。「私はこの歌詞をこういう風に受け止めるな」という感覚が一人ひとり違うということも分かりましたし、すごく勉強になったタイミングでしたね。
ーー確かに、ライブでの歌い方も歌詞の一つひとつを大事に歌うようになった気がします。
ami:確かに。前まではダンスをカッコよく踊りたいって感じだったけど、今は歌もダンスも大事にしたいという気持ちです。
MOMOKA:自分たちの気持ちが重なりやすくなった気がします。
ーー前回お話を伺ったのは『Answer』のリリース時、つまりニューヨークへの武者修行を終えたばかりのタイミングでした。「Answer」もSoulifeのお二人が楽曲を手掛けていますが、武者修行の成果はハッキリと表れていましたか。
佐々木:本人たちの前で言うのもアレですけど(笑)、かなり変わりましたね。ボーカルディレクションも「Dream Arch」のときは初めてということもあって手探りだったんですが、「Answer」のタイミングでは声の感じもわかってきて、こちら側としてもその声質を考えて作ることができました。
河田:ニューヨークの旅が大きかったのは、ワンマンでも強く伝わってきましたし、「Melody」のレコーディングでは、少しの立ち振舞いからアーティストとしての自信を感じました。
ーーここまでのシングル&配信の表題曲である「Dream Arch」〜「MORNING HOPE」〜「Answer」に関しては、ファンク的なアプローチやナイル・ロジャース風のギターカッティングなど、音作りに一貫したコンセプトがあるように思えるのですが。
河田:そう感じていただけると嬉しいですね。歌詞の面ではメンバーと同年代の方たちにも伝わるようなものと、大人の聴き手に共感できる曲を意識しました。あと、「Dream Arch」と同じくグループの現状も伝わる内容にしていて。「MORNING HOPE」では歌詞のなかに<視界は開けて〜辛い時こそ進めって言われてる気がして>というフレーズを込めたり、「Answer」は進化を表現した歌詞を本人たちがどう体現すべきか考えて作り、3人もパフォーマンスを磨いてくれたからこそ完成した曲だと思います。
ーー楽曲面でも、Soulifeのお二人が手掛けて以降は、リズムが立った横ノリのものが多くなりましたよね。
佐々木:「Answer」ではボディーパーカッションも取り入れたので、さらにリズムの意識は強くなりました。そのうえでかなり気にしているのが、キーとリズムをギリギリのところに設定していることで。本人たちは大変だと思うんですけど、熱量がなるだけ伝わるように、余裕のあるものは作りたくないという意図があるんです。
河田:J☆Dee’Zのプロジェクトに関しては、制作前に結構な時間をプリプロに費やしていただいていて。そこでキーもリズムも歌詞も実際に本人たちとブラッシュアップできるのも大きいですね。
ami:最初のデモと出来上がったものがかなり違ったりしますからね。
佐々木:基本的にどの曲もデモよりBPMを早く、キーも高くなってます。
河田:歌詞が“乗り越える”感じの内容だと、メロディでギリギリのところを歌ってもらうようにしていて。それってすごくリンクしているような気がするんです。攻めていく気持ちを歌でも伝えるようにするには、本人たちも辛いと思うんですけど、必要なことで……(笑)。
ami:「Answer」のレコーディングのときに、「ちょっとこれ、ライブで踊りながら歌えるかどうかわからないです……」と相談したことはあります。でも「頑張ってください!」と一蹴されました(笑)。
Nono:最終的にライブを重ねることでどんどん声は出てくるようになったんですけどね。
MOMOKA:ニューヨークで歌いまくって慣れたんです(笑)。
佐々木:あと、大きく変わったのは「Fun Time Funk!!!」ですね。レコーディング当日に半音上げに変えましたから。
ami:一年前のデモを聴くと声がぜんぜん違っていて驚きますよ。
ーー「Fun Time Funk!!!」は、聴いていても歌うのが大変だということが伝わってくる楽曲です(笑)。楽曲がド直球のファンクなので、歌をグルーヴさせないといけなかったり、ラップパートがあったりと、大忙しですね。
MOMOKA:自分たちでもキャラを変えて歌っていたんですよ。私は意地悪めなキャラを演じました。
ami:私は強い女性を演じることになって、『花より男子』の牧野つくしになりきりました。
Nono:私は囁く声のパートが多かったので、セクシーな雰囲気を意識しました。
ーージェームズ・ブラウンのパロディ的なパートもあって、聴き手としては楽しい一曲です。
佐々木:愛するファンクの巨匠たちに向けたオマージュをたっぷり入れさせていただきました(笑)。好きな人にニヤッとしてもらえれば嬉しいですね。