J☆Dee'Zはなぜ“本格派”グループへと変化したか? メンバー・スタッフに訊く「武者修行」舞台裏

J☆Dee'Zはなぜ“本格派”グループへ変化?

 J☆Dee'Zが1月17日から21日の間、アメリカ・ニューヨークでパフォーマンスを向上させるための武者修行を行ない、3月1日にはシングル『Answer』をリリースする。リアルサウンドではこの武者修行についてのコラムを掲載したが(参考:NY武者修行を経て、世界標準のガールズ・グループへーーJ☆Dee'Zが遂げた進化のウラ側に密着)、今回は帰国したメンバーと、現地でカメラを回し続けたソニー・ミュージックレーベルズの映像制作課に所属するスタッフ・松川正人氏にインタビューし、グループが大きく音楽的な変化を起こした際の心境や、武者修行の舞台裏などについて、じっくりと話を訊いた。(編集部)

「段々とプレッシャーに押しつぶされそうになっているのを見ていた」(松川)

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ーーJ☆Dee'Zのことを初めて見たのは2年半前の『JC☆DISCO vol.2』なのですが(参考: J☆Dee'ZがJC限定イベントの第二弾を開催 キレのあるパフォーマンスでファンを楽しませる)、グループ自体はここ半年で本当に大きく変化し、次のステージへ進んだのではないか、という気がしています。当事者としてはどのようにこの変化を感じているのでしょうか。

Nono:デビュー当時は「キッズダンサーとして活動していた4人組」という経歴もあり、自分たちでもその延長線上だと思っていましたし、追い込まれている感じもしませんでした。ただ、『Dream Arch』をリリースするくらいのころから、「自分がしたいことをしてるだけじゃダメで、辛いことを乗り越えるからこそ、その後に自分が求めてたものに近づける」のだと気付けて、はっきりと変化したことを自覚しています。

MOMOKA:私もそのタイミングですね。メンバーの休養があって、3人で『Dream Arch』を出すということになったから、すごく自分たちの不安も大きかったし、それを振り払うためにこれまでよりも本気にならなきゃと思ったんです。

ami:私も、デビュー当時から今にかけて大きく心境が違いますね。いまは他の方のパフォーマンスを見たりして「私だったらこういう風にする」と考えるようになりました。MCを見ても「この話題すごい面白いな、でも私だったらこうやってメンバーに振って、1人1人の良さをこうやって引き出すかな」とか。

ーー「良いものを貪欲に取り入れる」というスタンスになったんですね。

ami:そうですね。「この人みたいになりたい。真似しよう」という風に思っていたのが、「この人のここがかっこいいから自分に取り入れるけど、この部分を排除しよう」という風に、真似っこじゃなくて自分流を見つけたいという風に考えるようになりました。

ーーなるほど。NonoさんとMOMOKAさんの2人が挙げた『Dream Arch』のタイミングはやはり大きかったと。

Nono:『Dream Arch』のタイミングから、ライブも完全な生歌で、ハモりを入れるようになりました。そうすることで自分たちの声の欠点も見つかったので、この夏は空いてる時間を全部練習につぎ込んで、少しでも良くなるための努力をしました。

ami:あと、変に格好つけなくなった部分も大きいかも。どれだけ泥臭くても、今の自分をむき出しにしてぶつけようと心がけるようになったんです。それは「Dream Arch」自体が特別な楽曲だったからで。自分たちの曲なんだけど、背中を押されて、大きなきっかけになってくれたんです。

ーーそんな転機を経て、先日はNYでの武者修行を行ないました。その旅が過酷であったことは帰国後にいただいたコメントからも滲み出ているのですが、松川さんから見て、渡米する直前の彼女たちの様子はどうでしたか?

松川:初めてのニューヨークということもあり、そこまでまだリアリティがなかったからか、目標や意気込みはありつつもまだ実感がつかめていなかった印象です。ただ、向こうに着いて、ニューヨークの空気や人に触れ、明日への準備をする中で段々とプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。

ami:行く前は本当にやってやるぞという気持ちだったんですけど、ニューヨークに着いた途端に、めちゃくちゃ緊張しました。いざパフォーマンスだという段階になると足もガクガクして、手もめっちゃ震えて、「今の自分、大丈夫かな?」と不安でいっぱいになって。完全にアウェイな状態でしたが、2日目以降はその現実もちゃんと受け止めて「どれだけかっこ悪くても、今を表現したいと言って来たんだから、これが今の私たちなんだ!」というモードになれましたし、この逆境すらバネにしてやろうという考えにも切り替わりました。

ーー実際この旅を始めるにあたって、撮影する側としてはどのような目的を持っていたのでしょうか。

松川:彼女たちの挑戦を密着で撮影し、彼女たちを一人でも多くの方に知ってもらおうとするという目的もありつつ、我々としては「最悪、向こうでのパフォーマンスが成功という形じゃなくてもいいんじゃないかな」と考えていたんです。成功するにせよ失敗するにせよ、今後のライブパフォーマンスに変化は及ぶだろうし、何よりもこれからのJ☆Dee’Zには必ず活きる何かが見つかってくれるはずだと思い同行しました。

ーー緊張感や恐怖感は、撮っている側としてもはっきり感じていましたか。

松川:ビシビシと感じていました。僕らとしてもライブパフォーマンス中に人が足を止めてくれない状況があり、結構かわいそうな状況だよなと感じながらも、撮影側としては客観的に見ることしかできないですし、ここでこちらが手を伸差し伸べるのは、今回の主旨とは違うと思いましたので、ただただ「頑張れ!」という気持ちで撮り続けました。

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「答えを探すために、仲間だからこそのぶつかり合いをたくさんした」(ami)

ーー撮影を続けるなかで、「いい方向に変わったな」と感じたポイントは?

松川:実際にライブパフォーマンスをした1日目の夜に三人で行なっていた反省会の時からですね。初日を振り返った感想として「他のストリートパフォーマーがいたら、見てるだけじゃなくて絡んでみてもいいんじゃない?」と伝えてみたのですが、2日目から人が変わったように積極的になり、パフォーマーを見つけた途端、コートを脱いで踊るようになりました。その時は周りのスタッフも1日目との積極性の変化にみんな驚いていましたよ。彼女たちの中で話し合った中で、明確に何か吹っ切れた部分があったと思います。

ami:自分たちでもそのタイミングから変わったと思います。「お客さんが集まらない、どうしよう」という言葉がどんどん「こうやったら集まるんじゃない?」「こうしてみてもいいかも」と前向きなものになっていって、ピンチな状況に向き合って、みんなが同じ方向を向いていることを再確認しました。

MOMOKA:やる前まではどうすればいいのかわかりませんでしたが、1回パフォーマンスをしたことで、感覚が掴めたというか反応も少しわかったので、「この人たちはどうやったら楽しんでくれるだろう? 最後まで見てくれるだろう?」と考えるようになりました。

Nono:最初にNYへ着いたときも、最終日の朝も「夢みたいだな」と思っていたんですけど、最初のライブ中から「自分の中での気持ちの持ち方が違うんじゃない?」と気づいて。日本だったら本来作る必要もないような、InstagramやTwitterのアカウント名を書いた看板を作って、告知の大事さもわかったし、1回1回のライブがゼロからのスタートだったので、本当にいい経験になったと思います。

ーー極限状態での反省会だったと思うのですが、そんな状況でぶつかり合うことはなかったんですか?

ami:いや、ずっとぶつかった状態みたいな感じでしたよ、いい意味で(笑)。私が「もっと声を大きく出して『カモン!』と人を集めたほうがいいんじゃない?」と提案しても、「そうじゃないでしょ。それだけで人が来るほど簡単じゃない」と却下されたり。意見が分かれてても、相手の意見を聞いて納得できたり、次に進めるための提案が出て来る状態ではありました。自分たちらしい答えを探すために、仲間だからこそのぶつかり合いをたくさんしたなと改めて思います。

Nono:意見が分かれてもそのままにするのではなく、みんなでちゃんと1つの意見になるまで話したんです。日本にいるときには無かった雰囲気も出来上がっていたような。

MOMOKA:それでもまとまらなかったものは、両方試してみたりもしました。とにかくやってみて、ダメだったら作戦を練って。

ami:常に「次のライブに命かけなきゃ」という状態でしたからね。タイムリミットもありましたし、全員が「この機会を無駄にしちゃいけない」という気持ちが強かったんです。

Nono:「絶対に守りには入らない」という覚悟でしたね。それが間違いか正解かもわからないですが、全部が自分たちらしさになって、どこかの道に繋がっていくんだという気持ちでやっていました。

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