集団行動・真部脩一が語る、“Jポップの王道”を目指す理由「僕にとってはこれがスタンダード」 

集団行動・真部脩一が語る、“Jポップの王道”を目指す理由「僕にとってはこれがスタンダード」 

Jポップの文法にどこまで接近できるか

ーー真部さんは、“時代との距離感”みたいなことは考えますか。例えば東京という街の変化だったり、新しく生まれているグルーヴだったり、そういうものが参照点になることはあるのかどうか。

真部:個人としては当然あります。ただ、それを戦略的に取り込もうという気持ちはなくて、ひとつの気分として扱うようにしています。
 例えば、かつて80’sのリバイバルがありましたが、サンプリングされているし、コンセプチュアルで小難しかったから、あまり80’sっぽく感じなかった。その点では、いまの音楽シーンのほうがわかりやすいし、純度の高い、ストレートなものがそのまま評価されるという意味で、すごく80’sっぽいと思うんです。そういった土壌で、2000年代に扱われていた自分の音楽というものが、2010年代にどういう扱いをされるか。時代との距離感ということでは、ただそのことに対する興味がある、というだけですね。意識的に時代に合わせるのではなく、あくまでひとつの気分として、自分のなかに持っておきたい。

ーー一方で、最近のライブを観ていると、演奏家としての真部さんはダイナミックで、ある意味で身体的であると思います。

真部:そうですね。バンドを辞めてから、プレイヤーエゴが出てきて。これが面白くて、ひとりのバンド運営者として考えると、“そんなチョーキングいらねえだろ”と思うようなものが弾きたくなってしまう(笑)。以前はプレイヤーとしての自分の楽器が何なのかわからなくて、「このパートが見つからないから、自分でやろう」という、永久にベンチ入りしているようなポジションだったんですよ。つまり、音楽を作りたいから自分がプレイヤーとして参加する、ということだったのが、最近は演奏することにすごく意識的になって。それにはいい面も悪い面もあると思いますが、とりあえず僕は、ギターソロを大見得を切って弾いて、それで楽しい自分がいることがすごくうれしいという(笑)。

ーーこれまでにはなかったことですね。

真部:それで、「バックシート・フェアウェル」のソロの話なんですけど、意識のなかでは、バランスをとるためにクオリティをコントロールしなければいけないポジションで、プロデューサーとして作品にかかわるなかで、「ギターレスのアレンジのほうがいいんじゃないか?」という局面があったんです。そこで、何としてでもギター入りのアレンジを、というふうに押し通しちゃったときに、初めて「あ、僕はギターヒーローになりたいんだ」と気づいて。

ーー繰り返し聴いてますよ、あのソロは。

真部:ピアノだけのアレンジもすごいよかったんですけどね(笑)。ピアノももちろん自分で弾いているので、僕はやっぱり、いまはギタリストというところに意識がいっているんだと思います。だから、ここからはライブにしろレコーディングにしろ、ギタリストとしての自分と折り合いをつけていくことになりますね。

ーー例えば、小沢健二さんもギターをバリバリ弾きまくっているときがありますが、でも曲は決してワイルドではなくて、そこが魅力的ですよね。真部さんの今作のギターを聴いて、そのことを思い出しました。

真部:あれは魔法ですね。今後の野望で言うと、各人がもっとプレイヤーコンシャスな部分を強めていって、いろいろ任せながら、自由度の高いかたちで生まれてくるものをジャッジしていきたいなと。集団行動が、それで成立するような骨組みになっていくといいなと思います。実際、今回のアルバムで限界が見えたところもありますが、希望が見えた部分のほうが大きくて。各プレイヤーがスタープレイヤーとして作用できるところが大きくなるんじゃないかと思うし、そこは楽しみですね。


ーー以前、Vampillia(真部がギターで参加)の取材をさせてもらったとき、USヒップホップの話が印象的でした。今のアメリカのシーンはどう見ていますか?

真部:なんだかんだでアメリカはかっこいいものが売れていいなと(笑)。僕の青春期でいうと、例えばザ・ネプチューンズがブリトニー・スピアーズのプロデュースをしていたり、先進的なものが当たり前にチャートに出てくる。実際問題、それを日本でやるには……と感じてはいるので、今回の集団行動に関しては、Jポップの王道として扱われることを目指す、ということに目標を絞っているんですよ。

ーーJポップの王道として、これから成立し得るものに?

真部:そうですね。もっと言うと、ニッチなものとして扱われてきた自分の音楽が、Jポップの文法のようなものにどこまで接近して、融和するかというところへの挑戦だと思っています。いまのアメリカのチャートに対しても感動したり、刺激を受けたりする部分はあって、そういうところがどこまで出るか、というのは僕の趣味の範疇なので、構築の美学というところとのバランスのとり方が、いまは自分のなかではうまくいっているという感覚です。

ーーただ、集団行動の音楽にはJポップのクリシェのようなものは入っていません。あくまでもチャレンジングですね。

真部:もともとのモチベーションが、自分が構築してきたものがまかり間違って王道として扱われないだろうか、というところから始まっていますから。Jポップから始まって、そこで新しいことをやるというより、自分が作り上げたものが、どうやって王道として扱われるようになるか、というプロセスに興味があるんです。逆に、そうやって確立してきた自分の芸風、メロディの構築に対して、どれだけJポップのクリシェがハマるんだろうかと。次回以降は、そういったものへの挑戦にもなるかもしれないですね。

(取材=神谷弘一/構成=橋川良寛/撮影=三橋優美子)

『集団行動』

■リリース情報
『集団行動』
発売:2017年6月28日(水)
価格:¥2,000(税抜)
<収録曲>
1. ホーミング・ユー
2. ぐるぐる巻き
3. 東京ミシュラン24時
4. バイ・バイ・ブラックボード
5. 土星の環
6. AED
7. バックシート・フェアウェル

■ライブ情報
『集団行動の単独公演』
9月13日(水)渋谷WWW

集団行動オフィシャルサイト

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