Shout it Out、10代終える決心から芽生えた思い「死んでもいいと思える曲を書けるまで死ねない」

Shout it Out、“10代”終えて芽生えた思い

彰馬みたいなボーカルじゃなかったら、このバンドに加入していない(細川)

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――ここまで一貫した作品づくりをすると、もうちょっといろんな曲を入れろとか、バラエティ豊かにとか、色々言われることもあると思うんですけど、このアルバムを聴いていると、そんなことまったく思わないんですよ。

山内:「もっとこうした方がいい」とか「歌詞はもうちょっとこう」とか制作中に言われたこともありました。それで何度かの話し合いを経て、もう「辞めたいです」ぐらいのところまで行って。でも言ってみれば、僕らは長年、地道な活動をやってきたわけでもないし、元から秀でた才能があったわけでもないし、今、周りにいてくれるスタッフの人に見つけていただいて、こういう戦場に引っ張り上げてもらったわけなので、言われなければわからなかったこともあると思うんですよ。

――ああ、逆にいろいろ提案されて、「違うんじゃないか?」ということに気づけたんですね。

山内:そうですね。なので、それは経験してよかったことだなと思っていて。やっぱり何が正解で何が間違いで、本来ならばこうするべきだという上の世代の人からの意見は経験しないと。メジャーデビューもしていて、たくさんの人の耳に入る機会をこれだけ与えていただいているのに、聞く耳を持たずにやっていると誰にも受け入れられないと思うので。だから当時はすごく辛いなと思ってましたけど、そういう経験があったからこそ、受け手側の存在を意識して出来てるなと思いますね。

――ストレートな曲が並んだことが強みのアルバムではあるけれど、その中にもロマンティックな「夜間飛行」のような曲もあります。これはどんな時にできたんですか?

山内:ハタチになっていろんな制約から逃れて「自由」を手にするわけじゃないですか。例えば学校から卒業したり、大人の目を一旦離れるというか。それは「自由」に憧れてたはずだったのに、いざ急に解き放たれると、どうしていいのかわからない感覚というか、急に一人にされたような感覚になって。「夜間飛行」はそういう孤独感を誰かと共有したくて作った曲なんです。新曲はどの曲もそういう孤独感というか、不安感は共通していると思いますね。

――孤独感みたいなものって、下手したらテンプレな表現というか、誰かを救うための手段になりがちですけど、そういう印象がないですよね。

山内:10代の頃にCDを出していろんな店舗にご挨拶に伺わせていただく時、ポップに「10代の代弁者」と書かれることが多くて。嬉しかったんですけど、「ああ、こう書かれるってことはこうならなきゃいけないのか」と背負ってた部分があったんです。聴いてくれてる人のために代弁できるような曲を作らなきゃ、みたいな意識があったというか。10代じゃなくなってそういうものから解放された時に、人のためと思ってやるが故のリアリティのなさみたいなものに気づいて、本当に自分がやりたいことだけをやってみようと思って曲を書いたんです。

――「夜間飛行」には<誰にも理解できない 本当の僕を隠して生きている たまにそんな気がしてきて まだ何かやれるんじゃないかって思う>というフレーズがありますが、これはパンチラインだし真理ですよね。

山内:ありがとうございます、パンチラインですね(笑)。

――<まだ何かやれる>はずだから生きてる、みたいな感じありません?

山内:うん。それはありますね。10代は終えたくなかったんですけど、「青春のすべて」という最後に書いた曲があったからこそ、やっと受け入れられたというか。ただ、それは10代を終える決心がついただけの曲なので、「死んでもいいわ」って思える曲を書けるまで死ねないですね。

――山内さんと喋ってるとフラワーカンパニーズの(鈴木)圭介さんを思い出します。「青年の主張」の歌詞の中にもフラカンの「深夜高速」のワンフレーズが出てきますよね。

山内:フラカンは中学生の頃、よく聴いてましたね。この前、対談させていただいたんですけど、最初、泣きそうでした。

――(笑)。いろんな音楽の要素を入れる良さもあるけど、その人が今発信したいことだけが詰まってる強さがShout it Outなのかなと。

細川:彰馬って、楽器の演奏とか技術面にすごいこだわりがあるわけではなくて。俺は逆に楽器しか表現するものがないんで、そこに賭けてるんですけど、そこのバランスがいいんじゃないかな? と最近思うようになりましたね。彰馬が作ってくるデモって単純な弾き語りなんで、そこにどうやってShout it Outのドラマーとしてのスパイスや、アクセントをつけようかと考えるようになって。彰馬みたいなボーカルじゃなかったら、俺、たぶんこのバンドに加入していないと思うんです。彰馬の書く曲は絶対的にメロディがいいし、曲がいい。自分が好きな曲にドラムつけられるって、それほどドラマーとして幸せなことはないと思いますね。

――いわゆる邦ロック、ギターロック・シーンは続いてますけど、Shout it Outはそことも違う存在ですよね。

山内:僕は表現する人の年齢やジャンルにかかわらず素晴らしい表現に触れると嫉妬するし、憧れを感じるので、あまりシーンとかには興味がないですね。

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――ところで前のメンバーが脱退して二人になったときは、全く焦らなかったわけじゃないですよね?

細川:ライブが決まってるのにメンバーがいないという状況だったんで、めっっっっちゃ焦りました。サポートを迎えてのライブ初日まで2回しかスタジオに入れなくて不安はあったんですけど、それでライブができたので、「やっぱやれるんやん」と。

山内:僕、結構、ライブだと一人で飛んじゃうというか(笑)、あ、物理的にじゃないですよ? 完全に身を委ねられて、何も考えずにライブを終わらせてくれるメンバーじゃないと、ライブができない(笑)。

――ん? それはメンバーが変わったら難しいんじゃないんですか?

山内:そう。僕は気を使ってしまうと、まったく気持ちいいステージができない人間なので。でも、そういうことを理解してくれてるサポートメンバーと出逢えたから、今もそういう不安は感じずにやれてるんだと思います。

細川:自分が一緒にやってきたボーカルの中でも圧倒的に飛ぶ回数は多いですね(笑)。

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(取材・文=石角友香/写真=下屋敷和文)

Shout it Out「青年の主張」MV
Shout it Out 1stフルアルバム『青年の主張』トレーラー

■リリース情報
1stフルアルバム『青年の主張』
発売:2017年3月8日(水)
価格:¥2,800(税込)
※プレイパス封入付き
※初回生産分限定 スリーブケース仕様

<収録内容>
01. 大人になれない
02. 17歳
03. 雨哀
04. 道を行け
05. DAYS
06. 夜間飛行
07. トワイライト
08. 青春のすべて
09. 影と光
10. 青年の主張
11. エンドロール
12. 灯火

Shout it Out『青年の主張』特設サイト

<届け!青年の主張キャンペーン>

キャンペーン期間中にハッシュタグ「#届け_青年の主張」と、「青年の主張」ミュージックビデオのURL(http://youtu.be/Dn-Byq6jn7E)をつけて、TwitterでShout it Out 1stフルアルバム『青年の主張』のおすすめコメントをツイートすると、5名にメンバーサイン6宛名入りの「青年の主張」B2ポスターをプレゼント。

[ハッシュタグ]#届け_青年の主張

<1stフルアルバム「青年の主張」リリース記念インストアライブ>
※終了分は割愛
3月8日(水)タワーレコード 梅田NU茶屋町店
3月10日(金)HMV イオンモール岡山店
3月13日(月)タワーレコード 広島店
3月14日(火)タワーレコード アミュプラザ博多店

■ライブ情報
1stフルアルバム『青年の主張』リリースツアー
2月25日(土)大阪・OSAKA MUSE <ワンマン>
3月5日(日)名古屋・APOLLO BASE <ワンマン>
3月21日(火)松山・松山Double-u Studio <対バン>
3月25日(土)仙台・spaceZero <ワンマン/TRiFOLiUM(O.A)>
3月26日(日)札幌・SOUND CRUE <ワンマン>
3月31日(金)金沢・LIVE HOUSE vanvanV4 <対バン/サイダーガール、BURNOUT SYNDROMES>
4月2(日) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE <対バン/サイダーガール、Halo at 四畳半>
4月8日(土)福岡・DRUM SON <ワンマン>
4月9日(日)広島・広島BACK BEAT <対バン/ドラマチックアラスカ>
4月14日(金)神戸・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎 <対バン/HOWL BE QUIET、climbgrow>
4月16日(日)高松・高松DIME <対バン/HOWL BE QUIET、WOMCADOLE>
4月22日(土)松本・松本ALECX <対バン>
5月7日(日)東京・TSUTAYA O-WEST <ワンマン>

チケット一般発売中

Shout it Outオフィシャルサイト

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