嵐 櫻井翔が再びドラマに挑戦する意味ーーチームを盛り上げる“座長力”を読む

 1月3日に、嵐の櫻井翔が主演を務める新春大型ドラマ『君に捧げるエンブレム』(フジテレビ系)が放送される。櫻井がドラマに出演するのは、およそ2年ぶりとあって期待が高まっている作品だ。音楽シーン、バラエティ、報道と多彩な活躍をする櫻井が、今再びドラマに挑戦する意味とは。芸能ライターの佐藤結衣氏に聞いた。

「今回、櫻井さんが演じられるのは、サッカー選手として順風満帆な日々を送っていた矢先に、交通事故で脊髄を損傷してしまうという難しい役どころ。持ち前の精神力で過酷なリハビリに励むうちに車いすパスケットと出会い、パラリンピック日本代表を目指すというストーリーです。一見すると、ハンディキャップを乗り越える感動モノかと思われますが、番組公式HPにあるプロデューサー・増本さんのコメントには、お涙ちょうだいものにはしないという強い意志を感じました。櫻井さんも、別の番組で障がい者スポーツについて取材された経験があるとおっしゃっていますので、一種のジャーナリズムに近いテーマがあるのではと思います。2020年に向けて、多くのアスリートの方々が汗を流していますが、普段の生活では、なかなか各種目について知るキッカケは限られています。櫻井さんが、車いすバスケット選手を演じることで、競技としての知名度や選手にスポットライトが当たる。ドラマという形だからこそ人々の心に深く印象付けることができるのではと考えられたのでは、と思いますね」

 今作は、実在の元Jリーガーを主人公のモデルとしており、5年も前から取材を進めてきたものだという。その悲願のドラマを制作するにあたり、キャスティングにも悩んだ、と同HPにて語られている。そのなかで「国民的スターでありながら、親しみやすさがある」という理由で、櫻井にオファーがなされた。その狙いとは。

「主人公は、幼少期から天才と呼ばれた人。まっすぐに夢を叶えて、長澤まさみさんが演じる自慢の恋人もいます。いわば、ほしいものは全て手にしてきた人なので、本人では気づかないうちに傲慢になってしまう一面もあるでしょう。そんな主人公のことを視聴者によっては、親しみにくさや、嫌悪感も抱いてしまう可能性も。そうした役柄であっても、誠実で努力家な櫻井さんが演じることで、視聴者のみなさんが主人公の心情に関心をよせることができる、“この主人公の変化を見届けたい”という気持ちにさせてくれるのではないでしょうか。櫻井さんの俳優としての力量は、そこにあると思います。まず役の人柄に興味を持ってもらえること。ストーリーを多くの人の心に伝えられるかは、そこがスタート地点です。それは、もしかしたら、歌でもバラエティのトークでも同じことなのかもしれません」

 完成披露試写会では、豪華キャスト陣が撮影時の裏話について盛り上がるシーンも見受けられた。主人公のライバル役を演じる市原隼人が号泣するあまりNGをしてしまった際に、櫻井も同じように涙を流した話も。長澤に「意外と涙もろいですよね」といじられ、「年とったんだよ」と照れ隠しをして笑いを誘ったのが印象的だった。

「櫻井さんらしい盛り上げ方ですよね。おそらく、撮影時にもこうしたフランクなやりとりがなされていたのだろうなと想像できます。これまで、櫻井さんが主演されてきたドラマは、よくメイキングシーンが公開されてきました。たとえば、ドラマ『大使閣下の料理人』では自らビデオカメラを回し、共演者のみなさんと和気あいあいとされているシーンが放送されました。また、映画化もされた『謎解きはディナーのあとで』のスペシャル番組の特集でも、たくさん並べられたドレスの中から北川景子さんが以前に着用された衣装を言い当てるなど、スマートな執事ぶりを見せて周囲を盛り上げている様子も微笑ましかったです。チームを盛り上げて、一つの作品を作り上げるという、いわゆる座長力があるのでしょう。アイドルの方が、主演をする作品は演技力の面で賛否両論があります。専業で俳優をされている人と比べられることもあります。しかし、アイドルの櫻井さんだからこそできるドラマがあるのではないでしょうか」

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