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レジーのJ-POP鳥瞰図 第13回

音楽フェスの未来はどこに向かう? 今年のRIJFとTIFからレジーが考察

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THE YELLOW MONKEY
中村一義
Ken Yokoyama
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THE YELLOW MONKEYが「リベンジ」で見せた王者の風格

 今年で17回目の開催、すっかり夏の風物として定着したROCK IN JAPAN FESTIVAL(以下RIJF)。今回も2014年、2015年と同様の週末2回にまたがる開催となったこのイベントのチケットは全日程がソールドアウトし、総動員数は27万人とさらなる拡大を見せた。初回から毎年参加しているこのイベントに、今年は後半の2日間(8月13日、8月14日)で参加した。

 後半日程の目玉は、何と言ってもTHE YELLOW MONKEY(以下イエモン)の再集結後初めてとなるロックフェスへの出演である。2000年に開催された初回のRIJFに出演したイエモンは、台風が接近するひたち海浜公園において大雨の中でライブを披露。その後予定されていたAJICOと中村一義のステージが悪天候のため中止になってしまったことで、結果的にこの年の「トリ」を務めることとなった。当時あの場にいた自分は18歳、大学1年生。まさか40歳が見えてきている今のタイミングになって、またひたちなかでイエモンを見るとは……という感慨深い気持ちで当日を迎えた。今年イエモンが登場したのは8月13日、奇しくも16年前と同じ日付である(余談だが、2000年のRIJFにおけるイエモンのステージの映像はいまだにインターネット上に残っている。オーディエンスの反応や服装などから「フェス創生期」の雰囲気がわかる貴重な史料である)。

 16年前のステージでは当時の最新アルバム『8』の収録曲を主体としたセットリストだったが、この日イエモンが見せたのは問答無用のヒットメドレー。「代表曲をやる」という旨のMCからは妙な自意識から解放されたサービス精神だけでなく、解散後にイエモンと出会ったような若い世代のオーディエンスも根こそぎ持っていってやろうという気合と覚悟が感じられた。「楽園」「SPARK」「LOVE LOVE SHOW」、そして16年前と同じ「バラ色の日々」「パール」の流れ……特定の世代にとって「気がつかぬ間に歌詞とメロディが身体に刻み込まれている」とでも言うべき楽曲が次々と演奏されていくステージは(自分自身そこまでイエモンに入れ込んでいたわけではないのに、大半の曲の歌詞がすらすら出てきて驚いた)、J-POPというものが文化全体の中心に鎮座していた時代の華やかさに満ち溢れていた。

 こう書くと、この日のライブが「単なる懐メロカラオケ大会」だったと誤解する向きもあるかもしれない。そういう側面があったことは決して否定しないが、久々のフェスの舞台でイエモンは若手のロックバンドとは全く異なる感触の音楽体験を提供してくれたように思える。「どこから見てもロックスター」とも言うべき妖艶な雰囲気はこの日出演していたどのアクトにも見られなかったものであり、後半で導入された特効もそんな雰囲気にぴったりはまっていた。また、新曲の「ALRIGHT」がキャッチーかつ雄大なメロディと再結成への思いを綴った歌詞でオーディエンスを魅了し、BPMを過剰に上げたり言葉を詰め込んだりしなくても「いいメロディとタイトなビートと想像力をかきたてる歌詞があれば聴き手を十分に高揚させることができる」という当たり前の原理を立証してみせた。さらに、このバンドの凄みの一つでもある「生命」や「人間の存在」について深く問いかけるような重たい曲もセットリストに組み込まれており、「球根」「JAM」が発するシリアスなムードが享楽的になりがちなフェスの空気を一変させた。

 吉井和哉はMCにおいて16年前のパフォーマンスを引合いに出しながら「このステージでリベンジがしたかった」と語っていた。「邦楽主体のロックフェス」という新しい文化の始まり、かつ大雨という最悪のコンディションの中でのステージということで、2000年のRIJFはバンドにとっても印象深い出来事だったのだろう。そしてこの日のイエモンは、「リベンジ」という言葉では語りつくせない「日本のロックの王者」としての姿を見せつけた。再集結後最初のテレビ出演となった7月の『THE MUSIC DAY 夏のはじまり。』(日本テレビ)において吉井は「日本人が聴く日本で生まれたバンドの集大成」という表現を使っていたが、その言葉に恥じない素晴らしいロックンロールショーだった。

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