RIP SLYMEが語る楽曲制作のスタンス、そしてグループの今後「大事なことはイメージの共有!」

RIP SLYMEが語る楽曲制作のスタンスと今後
RIP SLYME PES
PES

「共感が作家性になっていく」(PES)

ーーところで、昨年出したアルバム『10』は収録曲の約半数がタイアップ曲で、今回の3曲もタイアップ主導でつくられています。タイアップによるものつくりついてはどう思っていますか?

PES:助かりますね。何にもテーマがない状態で作るときって、ゼロから立ち上げることになるから、まずそれを考える時間とミーティングが必要になるんです。特に去年は、楽曲制作に向き合うときに自分たちで煮詰める時間がそんなに取れなかったんでマジで助かったから。そういう話を頂いて作ることになると、グループでひとつになれやすいんですよね。

RYO-Z:テーマが決まっていれば、やり始めて迷うみたいなことがないからね。

SU:大枠があるから、そこからどう詰めるかっていう話をすればいいわけだし。

ーー幅広い業種のタイアップソングを歌うのも特徴だと思うんです。『10』のときも乳飲料、テレビ番組、車、旅などクライアントが種々様々。それはそれで大変なのかなとも思いますが。

PES:大変とは思わないですね。

SU:FUMIYAもPESも、もともと幅広い音楽性だから、むしろ、それを発揮できていいんじゃないかと思いますね。いろんな色が出せるから。

PES:あと、基本的にリップスライムって「みんなで楽しむ」とか「パーティーラップ」みたいなところしか落としどころがないんですよ。何やってもそれになっちゃうし、それが自分たちがやりたいことだから、そうしたほうがいいと思ってるんですけど。でも、いろんなタイアップのお話を頂くと、たとえば車だったら、車にかこつけてパーティーできるとか、「珍遊記」だったらバンドワゴンっていうテーマでパーティーぽい曲が書けるとか、違う角度を無理やり楽しめるっていうのもありますね。

ーータイアップだとラブソングも書けるとか?

RYO-Z:そうなんですよ。放っといたらラブソングなんて書かないですから。自分たちからラブソングっていう発想にならないと思うんですよ。

ーーとはいえ、自分たち発信じゃない「ものつくり」という部分で、タイアップ曲における作家性についてはどう考えていますか?

PES:作家性ねぇ……。もともとないんですよ、それは(笑)。レコード会社のスタッフとか事務所の人に昔からよく言われてたんです。歌詞のストーリー性がわかりづらいとか、内から湧き出てくるアーティスト性みたいなものが感じられないとか。でも、もともとないんですよ。あと、たとえば「神田川」みたいな曲を4人で書けって言われても、MCが4人いるから人称とか視点を揃えていく時点で難しいっていう。

RYO-Z:ラブソングも基本、そういうことだからね。4人でひとりの女性を愛するってないもん。

PES:そういう曲作りは無理って言っちゃダメなのはわかってるんです。やろうとしてるし、やった曲もあるんですけど、それほど話題になってないということはその手の曲はそんなにパンチがないってことなんでしょうね。だから、作家性がないとは思ってないけど、別にそれを求めてもないっていう。

RYO-Z:要は、一気コールみたいなグループなんですよ。一気コールばっかり作ってるグループっていう(笑)。

PES:ぶわははは! ある意味フィロソフィーがありますよ、そこには。だって、そうしたいんだもん。楽しみたい!っていうことで、ここまで来てるんですから。

RYO-Z:でも、ダンスミュージックってそういうことでしょ?とも思うしさ。

SU:うん、素晴らしい回答が出ましたね(笑)。

PES:曲作りに於いて、ディテールを突き詰めて着地させるのはすごく労力がかかるし、それができたからって世の中の人に響く保証もないですから。それを考えると楽しい方がいいかなって思いますね。今までの経験上、根を詰めて良いことなかったなっていうのもあるし。歌詞はそれぞれ書いてるから、5人でひとつになるのは難しいんですけど、でも、それぞれが与えられたイメージに寄り添うことはできるんで。

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ーーグループ名じゃないけど、スライムのように器に対して形をいろいろ変えながら、曲のイメージに寄り添っていくと。

PES:そう。『10』もいろんな人から意見をもらって、みんなで客観的にいじってもらって作った結果、「リップっぽいね」っていう評価を受けた。……ということは、「リップスライム」っていうイメージの共有なんだなって思うんです。FUMIYAのアーティスト性とか誰それの作家性とか、そういうものよりも5人でなんかゴチャゴチャやってるっていうことがいちばん大事で。その中で、各自の歌詞に共感してくれる人がいれば、そこが作家性になっていくんじゃないかなと。たとえばSUさんがラップした《きっとどこかがピタッとハウス》に対して「ここ、すげえ感動するな」っていう人がいるかもしれないわけで(笑)。

SU:あはは(笑)。

PES:それくらいでいいんじゃないかなって思いますね。内からあふれる何かとか、心の中の何かを吐き出そうと思って5人集まったときに「いや、俺、こんな曲やりたいんだよね」とか言っても「はい、カンパーイ」みたいに言われてなくなっちゃう、みたいなのもあるし(笑)。

RYO-Z:「難しい話、なしでー」みたいな(笑)。

PES:「さあ、飲も、飲もう!」みたいになっちゃうんですよ。本当にそうなっちゃうから(笑)。

RYO-Z:だから、突き詰めちゃダメなんです、ウチらは(笑)。

SU:そう。こだわりとか持たないっていうね(笑)。

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