秋元康と亀田誠治が“ダンス偏重のJ-POP”について語りあう 「『流行歌』であり『歌』なんだということを叫び続けたい」
詞と声の大進化!
番組後編では、響きをより追求する時代でもあると話し、サカナクション「新宝島」、ゲスの極み乙女。「ロマンスがありあまる」、SEKAI NO OWARI「Dragon Night」を紹介。亀田は「新宝島」と「Dragon Night」の歌詞について「同じフレーズを繰り返すことで、印象的な響きが残る」と話した。また、星野は自身の楽曲である「Crazy Crazy」について、歌ってて口が気持ちよく、聴き手にとっても引っかかる歌詞にするため「(クレイジーを)『クレイゼー』と歌っている」と明かした。
また、亀田は「歌声に新たな技術が使われている」とし、Perfume「ポリリズム」、SEKAI NO OWARI「RPG」、tofubeats「水星」、椎名林檎「長く短い祭」をを紹介。これらの楽曲について「デジタル技術でボーカルにエフェクトをかけることによって、歌声の微妙なゆらぎやニュアンスが機械的に整理され、歌詞が印刷された文字のように浮き上がってくる」とコメントした。星野はボーカルエフェクトについて「とても好き」と肯定しつつ、「tofubeatsくんとかもそうですけど、リアルタイムでエフェクトをかけてDJセットで自分で歌う。自分の生声で歌おうとは思わなかった人が、歌うことによって自分の中に秘めたものを出しやすくなったんだと思う」と自身の見解を述べた。
また、VTRには再び秋元康が登場し「僕は“詩”の詩人ではないので読むというよりも『聴く詞』だと思う」と自身が書く歌詞の特徴を述べ、続けて「一番考えるのは『誰の口からその言葉が出てくるのか、発せられるのか』。AKB48や乃木坂46のだと(1曲を作るにあたり)だいたい1,000曲ぐらいの候補から選ぶ」と厳しい選考基準についてコメント。作詞のタイミングについては「アレンジが上がったところで詞を書く」ようで、「仮歌とグループメンバーの(歌った)仕上がりで、また歌詞を直すことがある」と明かした。ここで秋元はJ-POPの歌詞について「わざとひねるよりも素直な方が伝わる時代で、昔はボーカル(の音量)が相当立ってたが、バックトラックの音量が上がってきた」と前置きし「それは声や歌が楽器の一つになったから。僕は、日本語で(歌うことで)違和感があっても、日本語で耳に残したい」と、それでも自身は歌詞や声のニュアンスを大事にし続けたいというスタンスを熱弁。秋元は「自分が作っているのは『流行歌』であり『歌』。J-POPとは『歌』なんだということを叫び続けましょう」と亀田に語り掛け、VTRを締め括った。
最後に亀田が2006年から現在までの時代を「CD・配信・ストリーミング・ライブと音楽の楽しみ方が多様化した時代」とまとめ、続けて「音楽で踊るということがコミュニケーションとして浸透した、ボーカルも進化させてカラフルなサウンド・言葉を生んだ」とコメント。また、星野は今やりたい音楽として「完全に生音のダンスミュージックを作りたい。自分の遊びっていうものを伝えていければいい」と今後の展望を語った。亀田は“未来に託す希望”を「J-POPはめざましい進化を遂げた。でも、人が心で感じること、人が伝えたい思いは普遍的なもので、その思いをJ-POPに乗せて人々の毎日を豊かにしていきたい。J-POPをみんなと一緒に未来につなげていきたい!」と今シーズン最後の放送を締めた。
毎シーズン、最前線で活躍するプロデューサー・ミュージシャンたちが、番組を通じて常に作曲・編曲の技法を伝えてきた同番組。今後も『SEASON 4』が放送されることに期待したい。
(文=向原康太)