SCREEN modeが音楽で“さらけ出す”ものとは?「裸になった状態がビルドアップされていないと」

SCREEN modeの進化が向かう先

 キーワードは“Naked=裸になる”。SCREEN modeの2016年最初のリリースは、京都アニメーション制作のTVアニメ『無彩限のファントム・ワールド』オープニング主題歌「Naked Dive」だ。80年代のユーロビートと現代のEDMをミクスチャーし、作曲家・太田雅友の真骨頂であるキャッチ―なメロディを前面に、幻想と現実の交錯するシリアスでファンタジックな世界を鮮やかに描き出す、新境地の高速ダンスロック・チューン。飽くなき進化を続けるSCREEN mode、覚醒の一撃だ。(宮本英夫)

「小室哲哉さんの影響を臆さずに出した」(雅友)

ーー髪の色、変わりましたね。

勇-YOU-:そう! 変えたんですよ。新曲のミュージックビデオを撮るにあたって、イメチェンしたいなと思って、赤く染めてみました。カラーリングが落ちてきて、今は普通の茶髪になりつつあるんですけど。

ーーあはは。染めるのは初めて?

勇-YOU-:いや、昔は染めてた時期もありましたけど、音楽を始めてからはずっと黒髪だったので。10年振りぐらいかな。

ーーアートワークも楽曲も、これまでとは違う新しい要素満載のものなので、そのあたりから話を始めましょうか。「Naked Dive」は80年代のユーロビートっぽい感じがありつつ、今のEDMにも通じるデジタルなロック感があって、なおかつポップに聴けるというのが第一印象でした。

雅友:うんうん。そういういろんな要素があるというか、まずイントロでユーロビートっぽさがありますよね。でも間奏はEDMっぽい流れになっていて、ちょっとずつ盛り上がって、一回静寂が訪れて、また盛り上がっていくみたいな。どうせやるなら、いろんな要素があったほうが楽しいかなとは思ってました。今回はデジタルっぽい要素を入れてやろうと、ランティスのプロデューサーの方にアドバイスをもらってから作り始めたんですけど、まず1曲作ったんですよ。「これだろう」と思って提出したんですけど、「これはちょっと違う」と言われ。

ーーあらら。

雅友:それはたぶん、SCREEN modeがそういうことにやるにあたっては、振り切れ感が必要だったと思うんですね。はっきりと明確なものがなくて、ブレた感じに見えちゃうとカッコ悪いから、「もっとはっきりさせてくれ」と。で、ちょうどその時期にヨーロッパに旅行に行く予定があって、そのまま行ったんですよ。曲ができてないのに(笑)。最終目的地はパリで、その前にモスクワにも寄って、赤の宮殿を眺めながら「この曲、どうなっちゃうのかな」とか思いながら(笑)。

ーーぜんぜん旅行気分になれない(笑)。

雅友:曲に思いをはせながら(笑)。それからフランスに行って、パリからブルゴーニュへ向かったんですけど、TGVが取れなくて普通の電車で行ったんですよ。2時間ずーっと畑を見ながら、「どうしようかなー」と思いながら。それはもうカオスというか、異国情緒みたいなものがゴチャマゼになっていて、そのイメージが曲にも出てると思います。ミュージックビデオもどこの国かわからないような、謎めいてるじゃないですか。曲を聴いて、監督も僕と同じイメージを感じたんじゃないかな。そういう意味でも印象的な曲になりましたね。

ーーですね。

雅友:ただ、ものすごく斬新なことをやってるか?というと、そうでもないんですよ。僕個人としては。

ーーそもそも、アニメサイドからのリクエストというのは?

雅友:デジタルで硬質な感じがほしいとは言われてました。アニメ『無彩限のファントム・ワールド』の内容を聞いて、もともと僕がイメージしていたのは、僕に見えているものがほかの人にはそう見えていないかもしれないとか、「脳科学っぽいね」と言われたんですけど、僕は哲学っぽい感じだと思っていて。たとえるなら、映画『マトリックス』のような裏テーマがあったんですよ、僕の中に。そういう要素がこの曲には合うんじゃないかな?と。たまたまアニメチームにも、音楽的にカッコいいデジタルの要素がほしいと言われていたので、うまくリンクしたと思います。

ーーそれが、ヨーロッパ旅行中に形になった。

雅友:だいたいこういうふうにしよう、というのはパリで決めました。それを帰ってきて速攻で作った感じです。決まると速いんですよ。僕の曲作りで非常に重要なのはまずテンポ感で、この曲は四つ打ちのビート感が定まった時点で、あとは速かった。僕はやっぱり、テンポとリズムですね。ドラマーの人選もむちゃくちゃ重要だし。だからリズムが強いですよね、今までになく。

ーーそうだと思います。

雅友:でもね、今回はやっぱりメロディなんですよ。話が矛盾してるんですけど(笑)。前のインタビューで「小室(哲哉)さんの影響を受けてます」という話をしたと思うんですけど、僕らの世代って、小室さんの影響からは逃れられないんですよ。もっと上の世代、50代くらいになると、ビートルズの影響を受けた人が多いですよね。僕ももちろん好きなんだけど、僕の世代はリアルタイムではないので、後追いなんですよ。教科書に載っているような音楽ですね。でも小室さんと、あとB’zの松本さんはリアルタイムなので、どうしても出てしまう。それを今回は臆さずに出したというか。

ーーああ。なるほど。

雅友:だからこの曲を聴いて、懐かしさを感じる人は多いんじゃないですかね。いろんな意味で。だからこの曲のメロディは、僕にとっては挑戦というか何というか……。

ーー挑戦じゃないですか。新発見ではないかもしれないけれども。

雅友:でもね、一周して新発見なんですよ。プロデューサーにも「小室さんぽいね」と言われたんですけど、常に一定の割合で、小室さんは僕のメロディの中にいるんですよ。だから「もともといますよ」という話をしたんですけど。別に今回だけ狙ったわけではなく、いつもいますからって。その加減が多いだけで。お会いしたことはないんですけどね、小室さんには。一回会ってみたいです。どんな人なのか。

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