SCREEN modeが新作で見せた曲作りの美学「スコアリングが良くないと音楽に魂が宿らない」

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 デビューシングル「月光STORY」から最新シングル「アンビバレンス」まで、全シングルに加えてミニアルバムのリード曲、さらに新曲を加えたSCREEN modeの1stフルアルバム『Discovery Collection』がついに完成した。稀代のメロディメイカー&優れたサウンドメイカーである太田雅友の生み出す楽曲は、素晴らしいメロディと様々なジャンルが刺激的に溶け合い、ヴォーカリストとして急激な成長をとげる勇-YOU-の歌声が、その広い世界観を完璧に表現する。J-POPやアニメファンを超えて多くのリスナーに届きうる本作は、いかにして作り上げられたのか。ふたりのホームグラウンドである都内のスタジオで行われた、フォト・セッションとインタビューをお届けする。(宮本英夫)

「集大成ではなくて、ようやくスタート地点に立った」(雅友)

ーーいつもこのスタジオ、使ってるんですか。

雅友:そうですね。

勇-YOU-:歌はいつもここです。

ーードラムとか、バックの演奏も?

雅友:ドラムも録ります。弦楽四重奏や管楽器も、4人までならここでいけます。もう一人増えると、ヘッドホンが足りないとか、椅子が足りないとか、いろんな問題が生じるので(笑)。そういう時は大きいスタジオでやっちゃいます。

ーースタジオの中はどんな雰囲気で、実際何をやってるのか。興味ある人もきっと多いと思います。けっこうピリピリすることもあるんですか。

雅友:SCREEN modeのレコーディングは、ミュージシャンがいつも同じで、ドラムが吉田太郎さん、ベースは山口寛雄さん、すごく信頼してる人とやってるんで、和気藹々とやってますね。ただ弦楽器や管楽器は、スコア通りに弾いてもらってもちょっと違和感がある時に、その場の判断でスコアを直して進行しなきゃいけないので。そういう時はものすごい集中力になりますね。だから時間がかかることもあって、たとえば弦カル(弦カルテット=弦楽四重奏)は4人だけだから、全員音楽大学の主席みたいな人が来るんですよ。大編成だといろんな人がいるけど、弦カルはすごい人たちしか来ない。簡単に言うと、怖い人が多いんですよ(笑)。

勇-YOU-:(笑)。

雅友:普通にソリストでコンサートを開くような人が来るから、みんなガンガン言ってくる。「この音はこれで合ってるんですか?」とか。で、微妙な時ってあるんですよ。音楽理論的にはいいんだけど、わざとなのか、間違ってるのか、こっちも曖昧なところがあって、そういうところに限って必ず聞いてくる(笑)。一流の人たちだから。その時にパッと応えられないと、気持ち良く演奏できないんですよ。

ーーそうですよね。

雅友:プレイヤーが不安になるような状況を作っちゃいけない。だから常に頭の中は、エンジンを吹かしてる感じで、何か言われたらすぐにギアをガチャンと入れる。すごい緊張感がありますね、弦楽器と管楽器の場合は。プレイヤー同士で、ぶつかることもあって、そこをコントロールして進行しなきゃいけないんで、4人ぐらいを相手にいつも張り詰めてます。ヴィオラの人がまた怖いんですよ。

ーーなぜヴィオラ?

雅友:ヴィオラの人の人間性が怖いわけじゃなくて(笑)。ヴィオラだけスコアが違うんですよ。アルト記号という譜面になってて、時間があれば読めるんですけど、パッと見で「あそこの音が……」とか言われると、「あ、ヤバイ」って焦るみたいな、緊張感がハンパないですよ。今はさすがに慣れましたけど、駆け出しの頃はビビりましたね。……ごめんなさい、アルバムの話と全然違ってて(笑)。

ーーいえいえ。そういう話をスタジオで聞くと、すごいリアリティがあります(笑)。そしてついに完成した1stフルアルバム『Discovery Collection』は、この2年間の軌跡と言うか、「月光STORY」とか、すでになつかしい感じもしますし。

雅友:そうなんですよね~。「月光STORY」だけ少し音質が違っていたりして、やっぱり2年って長いんだなと思いますね。マスタリングで調整してるんで、聴き分けられないとは思いますけど。

勇-YOU-:長いようで短いというか、あっという間に駆け抜けた感じですね。僕の中では。

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ーー本当にいいアルバムです。今までもシングルで、特にカップリングとかでいろんな面を見せてくれましたけど、初登場の新曲も新しい発見が多かったですし。

雅友:ありがとうございます。

ーーそもそも1stフルアルバムとして、どんなものにしようというイメージがあったんですか。

雅友:大きい枠としては、“集大成に見せたくない”というのがあったんですよ。僕のイメージとしては、シングルは一個一個の点なんですよね。それがアルバムにコンパイルされることによって、点と点がつながって面になるというイメージがありました。それによって、ようやくSCREEN modeの姿が見えてくるという感じで。だから集大成ではなくて、ようやくスタート地点に立ったという感覚は最初からありました。

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