NEWS加藤シゲアキ、“繊細な表現者”としての魅力 原作小説の連続ドラマ化を機に考える 

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(C)タナカケンイチ

 2016年1月9日に、NEWSの加藤シゲアキ原作の短編小説集『傘をもたない蟻たちは』が、連続ドラマとしてスタートする。加藤といえば、2012年1月に『ピンクとグレー』で衝撃の小説家デビューを飾り、以降アイドルという多忙な生活を送りながらも、1年に1作品というハイペースで作品を発表。『ピンクとグレー』『閃光スクランブル』『Burn.-バーン-』の3作品を“渋谷サーガシリーズ”として、ベストセラーに。

 今回ドラマ化された『傘をもたない蟻たちは』は、2015年6月に発売された自身4作品目。加藤がディスクジョッキーを務めるラジオ番組では、ドラマの収録現場でのやりとりについて語られた。印象的だったのは、制作陣へのリスペクトだ。

 まず、原作者である加藤に、主人公の幼なじみ役として出演依頼があったときの対応がとても丁寧だったことを述べた。そして短編小説を、あえて連続ドラマとしてアレンジすることについて「因数分解して再構築させてもらいました」という言葉があったことも挙げ、「まさに、一つひとつの物語を、いい感じに崩してひとつにしている」と称賛した。

 こうしたエピソードをチョイスする姿勢からも、加藤がとても繊細な人だと感じる。目の前で起きたできごとや人の行動に対して、キッチリと受け取っているのだ。自身がよくインタビューなどで、自分のことを「ネガティブ」や「人見知り」と言っているのも、洞察力と想像力が長けているからこそではないだろうか。その一言、その行動が、どういう意味を持っているのかを、瞬時に察知して考えてしまう。だからこそ、加藤自身が使う言葉は、日頃からよく推敲されていて、多くの人を惹きつける力がある。

 アイドルという職業は、バランス感覚が求められる仕事だ。人としての魅力が見えてこなければファンはつかないが、人間味がありすぎると離れていってしまうファンもいる。本来の自分と、アイドルである自分とのギャップを感じるアイドルも少なくない。繊細な加藤も、もれなくそのひとりだったと公言している。

 そんなことを感じた時に加藤が取った行動が、小説や映画や音楽などあらゆる作品に触れることだった。今も変わらぬ圧倒的なインプット量は、ここに由来している。そして、本当に自分が表現したいものを爆発させた結果が、処女作『ピンクとグレー』だったという。

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