小野島大の新譜キュレーション 第2回
フェス・シーズンの最中にリリースされた必聴盤は? 小野島大が6作品をピックアップ
スティーヴィ・ワンダーやロバート・グラスパー、ジル・スコットなどを手がける気鋭のプロデューサー、サーがシンガー・ソングライターとしてデビュー。そのファースト・アルバム『セヴン・サンデイズ』(Fresh Selects / Pヴァイン)です。ケンドリック・ラマーで名を挙げたナレッジ、DKザ・パニッシャー(ジル・スコットなど)、イマン・オマーリ、さらに先日ディアンジェロ&ザ・ヴァンガードのドラマーとして超絶プレイを見せたクリス・デイヴなどがプロデューサーとして参加しています。これが売れっ子プロデューサーの余技かと思えば大間違いで、甘い美声とスマートでメランコリックな楽曲で、フランク・オーシャンも真っ青というぐらいの、驚くほど上質で新鮮なインディR&B作品に仕上がっています。
ポーランド生まれ、デトロイト育ち、現在はNYを拠点に活動するジェイカブ・アレキサンダーのプロジェクトHeathered Pearlsのセカンド・アルバム『ボディ・コンプレックス』(Ghostly International / PLANCHA)は、最近では出色のテック〜ミニマル・ハウスです。ファーストはヴァイナルと配信のみだったので、CDはこれが初リリース。メロディアスでサイケデリックでドリーミーなアンビエント・ドローンからシューゲイズ的エレクトロ、女性ヴォーカルをフィーチュアしたディープ・ハウスまで、とにかく耳障りな音を一切出さない徹底して心地よく洗練されたサウンドは、深夜に聴くとどハマりします。