モー娘。とAKB48、それぞれのOGの進路はどう違う?『テレ東音楽祭』紺野あさ美復活から考える
そうした一般的な進路のあり方に比して、モーニング娘。卒業後に大学へ進学をし、アナウンサーになった紺野あさ美は、今振り返っても異端の存在だと香月氏はいう。
「卒業後の進路が多様な現在のAKB48グループだと、『アナウンサーになりたい!』も“ありえる”選択肢のひとつとして受け止められると思うのですが、紺野さんが卒業した当時のモーニング娘。においては、そのような進路自体がとにかく異例でした。ファンも予想外の進路を受けとめる準備が今ほどはできていなかったので、当時はさまざまなリアクションを見せていました。そういう意味では、アイドルグループのメンバーに今ほど将来の選択肢が想定されていなかった時代における、一種のパイオニアだと思います」
続けて同氏は、両グループが示すスタンスのメリットとデメリットをこう語る。
「これまでのモーニング娘。の場合、はじめからメンバーの人数が比較的限定されていることもあり、卒業後も引き続きアップフロントグループの中にとどまってその後の活動を続けていくことが目立ちます。卒業後もさしあたりの居場所があることは安定につながりますし、引き続きファンとの関わりを保ちやすいことはメリットだと思います。一方でアップフロントグループ内の活動が主になることは、卒業後の進路の幅を限定してしまう可能性もあります。AKB48グループはそもそも卒業後の進路を探すためのステップなので、在籍時から個人活動の幅は広いですが、その後安定的な活動をするための土壌は個々で模索していく割合が高くなり、モデルケースもまちまちになってきます。ハロー!プロジェクトと48グループの在籍人数の違いは、作ろうとしているエンターテインメントの性質の違いでもありますが、同時に卒業後の進路をそれぞれに特徴づけるものでもあるでしょう」
最後に、両グループのOGの進路について、同氏はこう推察した。
「AKB48のOGは、現在のスタンスによって辿り着いた場所でそれぞれが活躍を続けるのであれば、しばらくは同じモデルが継続されるでしょう。同様に2010年代以降のグループアイドル界隈では、アイドルの数も多いぶん進路やスタンスの多様化が進んでいるため、ハロー!プロジェクトも現行メンバーに関しては、そうした多様なモデルが存在することが前提の進路選びになるでしょう。今後紺野さんのようなキャリアを築くメンバーも、どのグループ出身であるかを問わず現れていくのではないでしょうか」
アイドルグループが多様化するにつれ、その進路もまた増え続けているシーンの現状。それぞれの巨大グループにおいて、新たなキャリアを提示するメンバーの登場にも期待したい。
(文=向原康太)