新生・東京パフォーマンスドールはどう進化する? 「ダンスサミット」の画期性を解説

 昨年夏に本格始動した新生東京パフォーマンスドールは、最初の一年の活動拠点を渋谷の劇場「CBGKシブゲキ!!」に定め、そこで「PLAY×LIVE『1×0』」と銘打った音楽と演劇の融合公演を行なってきた。アイドルシーンから見ればそれは、グループアイドルが演劇を取り入れた公演を行なっているようにも見える。しかし実のところ、公演時間の半分以上を演劇にあて、その演劇を受けて後半にダンスサミットが繰り広げられるその構成の中では、演劇とライブは同等の関係性を保ち、ともすれば演劇の方に比重が置かれていた。キャリアをスタートさせたばかりのメンバーたちにとって、当初から活動の重点は歌とダンスを中心にしたグループアイドルの標準型とは大きく違っていたはずだ。

 このPLAY×LIVEという公演の形態は、グループアイドルというよりは宝塚歌劇などの演劇公演に近い。宝塚歌劇の多くの公演は、ちょうどPLAY×LIVEと同じように前半をミュージカル演劇、後半をレビューと呼ばれるコンセプチュアルな歌とダンスのショーで構成している。いわば東京パフォーマンスドールのダンスサミットはこのレビューにあたるものだ。また、PLAY×LIVEでは映像や照明、美術などの制作スタッフに、もともと演劇分野でプロジェクションマッピングや映像の用い方に定評のあるケラリーノ・サンドロヴィッチ作品に多く携わるメンバーを招聘し、方針として演劇志向の強さをうかがわせている。その意味でもダンスサミットは半分、ミュージカルの延長でもあるのだ。AKB48もまた活動当初、宝塚歌劇や吉本新喜劇を例示して自らのエンターテインメントとしての特性を謳っていたが、その場合の宝塚などとの相同性は「劇場拠点」ということだった。それに対して東京パフォーマンスドールは、その上演形式に宝塚歌劇のようなミュージカル演劇との相同性がみられるといえるだろう。

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