新生・東京パフォーマンスドールはどう進化する? 「ダンスサミット」の画期性を解説
そのように考えると、ダンスサミットのフレッシュさの理由もより具体的に見えてくる。ダンスサミットは単に楽曲のパフォーマンスを連続して行なうのではなく、宝塚のレビューのように一曲一曲のコンセプトに合わせて衣装や装置、照明を大きく変化させ、ノンストップという形態を保ちながらも曲ごとに世界を明確に作り分けていくところに特色がある。プロジェクションマッピングもその世界観の切り分けに欠かせない効果をもたらしているのだ。楽曲を連続させながら強い起伏や緩急をつけられるのは、このレビュー的な性格によるところが大きい。そして、PLAY×LIVEにおけるこのレビュー公演部分すなわちダンスサミットを「アイドルのライブ」としてグループアイドルシーンに持ち込むことで、洗練されたノンストップライブとしての特徴が際立ってくるのだ。東京パフォーマンスドールのライブは、そうしたミュージカル的な分野からの派生的な作品としての側面を持っている。
キャリアのスタートから特徴的な比重で活動を行なってきた東京パフォーマンスドールが満を持してグループアイドルシーンに本格参入したことで、アイドルというジャンルにもさらなる厚みがもたらされた。PLAY×LIVE、そしてダンスサミットはシーンに対しての効果のみならず、もちろん東京パフォーマンスドールメンバーが幅の広いパフォーマーに育つための場としても強い期待を抱かせるものだ。もっとも、グループがアイドルシーンに近づいていくことで、今後この公演形態がどの程度継続されるのかはわからない。また、東京パフォーマンスドールが見せるダンスサミットの真骨頂は、舞台装置やリハーサルなどの周到な準備が可能な環境でこそ実現できるものであるため、様々な「現場」での活動が増えていくであろう来年以降に、どこまでPLAY×LIVEの色が維持されていくかも不透明ではあるだろう。とはいえ、グループにとってもダンスサミットが最重要の武器になったことは間違いない。様々な可能性の芽を含んだ初期活動をどのように発展させていくのか、東京パフォーマンスドールの進化はこれからが本番だろう。
■香月孝史(Twitter)
ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。
■リリース情報
『DREAM TRIGGER』
発売:2014年11月26日(水)発売
価格:初回生産限定盤A・B・C(CD+DVD) 1,528円+tax
デジタルセレクトカップリング盤(CD+1曲DL) 1,204円+tax
通常盤(CD) 926円+tax ※初回仕様あり
期間生産限定盤(CD) 463円+tax
■オフィシャルHP
http://tpd-web.com/
■オフィシャルTwitter
https://twitter.com/TPD_official