ターボ向後のマニアック音楽シーン探訪
アイドル界の新潮流!? 聖☆ボナプロ学園、Peach sugar snow ら"JS系"グループの最前線
先日発表されたアイドルグループBerryz工房の来年春における無期限活動停止のニュースは、多くのアイドルファンに衝撃を与えた。Berryz工房は、現在AKB48グループを率いる秋元康氏が手掛けながらも、ヒットへと結びつけることができなかった「ねずみっ娘クラブ」のような、いわゆる「低年齢(JS)アイドル」のコンセプトをより先鋭化したグループとしてスタートし、色物的ではない音楽性の高さとそのビジュアルのギャップが特徴だった。「モーニング娘。の妹グループ」という枠を超えて、タワーレコード社長の峯脇社長やミュージシャンの掟ポルシェ氏を筆頭に、全国に熱狂的なマニアを生み出した画期的なカルトアイドルグループで、2014年3月3日にデビュー10周年を迎えていた。
「ローカルアイドル」「ライブアイドル」というカテゴリーでは現在、何百ものアイドルグループが活躍しており、中でもBerryz工房がその可能性を示唆した「JS系」と呼ばれる低年齢アイドルグループが密かに人気を集めている。
今回は映画『エコール』の世界にも似た、JSアイドルシーンをけん引する代表的な幾つかのグループを紹介したい。
神聖にして可憐! 「聖☆ボナプロ学園」という架空の楽園
オフィシャルサイトの充実ぶりやその企画性の高さ(メンバーとのBBQ大会etc)、コンセプトの明確さにおいて、JSアイドルシーンの筆頭グループに上げられるのが聖☆ボナプロ学園である。
正統派アイドルポップからEDMまで多彩な楽曲を持つ彼女たちは、音源では強烈&狂ったAUTOTUNEボーカルを聴かせているが、真骨頂となるライブでは「生唄」を披露している。
先日行われたアイドルの祭典「TOKYO IDOL FESTIVAL」では、会場近辺にてゲリラ的に「お名刺お渡し会&撮影会」を行い、ファンとの熱狂的な絆が話題となった彼女達。オリジナル曲も増えており、2014年最も注目すべきJSアイドルグループといえるだろう。
まるでカヒミカリイ!? 究極の"ウイスパーボイス"アイドル「Peach sugar snow」
ダンスに特化したり、メタルやAORといった音楽ジャンルに特化するなど、様々な方法論で差別化を図っている昨今のアイドル界だが、その歴史を振り返ると「歌唱法」によって自らの立ち位置を明確にコンセプト化したグループはいなかったのではないだろうか。今年TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)にも出演を果たしたPeach sugar snowは、山梨出身のウイスパーボイスオンリーアイドルだ。グループ唯一のJCメンバー小越桃香は、2015ミスiDセミファイナリストにもエントリーされている。
エレクトロニカアイドルポップとでもいうべき完成されたサウンドの中、まるでカヒミカリィか、はたまたシャルロット・ゲーンズブル(JS時代に父親とともに歌手デビューし「LEMON INCEST」ほか、傑作ウイスパーボイスポップを作り上げた)のような囁きがたゆたう楽曲は、JSポップ独特の魅力にあふれている。
現在、東京でのライブ活動も急増している彼女たち。全国区へとその“危ういささやき”が届こうとしている。