HaKU辻村有記が明かす音楽人生のターニングポイント「人間ってこういう風に変わっていけるんだ」

「歌よりリフを歌ってしまう、そういうものが作れたらなって」

――全ての歌詞を辻村さんが手がけていますが、歌詞を書くことへの興味は強かったんですか?

辻村:全く無かったです。それこそ結成した頃は生音のヒップホップバンドをやろうと思っていたので、歌詞を作らずフリースタイルで歌ってたんです。でも全然お客さんとつながれなくて、どうしたら人と楽しめるのか、ライブをやる意味を見いだそうと試行錯誤した結果、ダンスミュージックにたどり着いたんです。

――ダンスミュージックとの出会いは、何がきっかけだったんですか。

辻村:サカナクションのライブです。4つ打ちでお客さんがノッてる姿が新鮮で、こういう一体感のうまれ方もあるんだ、僕らもやってみようって思ったのが最初のきっかけですね。当時は、メンバーの誰も4つ打ち音楽を聴いてなかったので、だからこそ試行錯誤してオルタナティブでプログレッシブでダンスミュージックっていう、相反するものが全部くっついた音楽が生まれたんです。そこが今のHaKUの音楽の原点です。そこからいろんなものを付け足して、ようやく自分たちの音楽が今回のアルバム『シンバイオシス』でできたなと思います。

――なるほど。ちなみに今はどんな音楽が好きですか。

辻村:EDMはかなり聴いてます。アヴィーチー、ゼッド、スクリレックスはもちろん、アフロジャックとか、『Tomorrowland Fes.』に出る人たちはみんな好きです(笑)。

――HaKUは、ダンサブルなサウンドを人力で演奏するのが特徴的ですね。

辻村:最初、同期の能力が無かったんです(笑)。無ければ出る音を探せばいいだけで、それで出せたのがギターの音色で、そこから今の流れになっていくんですけど。結果的に生でやることによって伝わる力ってあると思うし。打ち込みだと作られたものだけになってしまうけど、お客さんの鼓動と一緒に自分の鼓動も上がって、自分の感情でコントロールして演奏できるのが良いなって。もちろん、この先に打ち込み入れないってことではないですよ。ただ、今はまだその面白さを追求してますね。

――またメタルの話になってしまいますが、速弾き、2バスとか、メタルって人力感の究極を行ってるところありますよね。

辻村:それはすごい近いかも。ドラゴンフォースなんかどの曲もギターソロが3分あって、ライブでボーカルがステージをはけたり(笑)。それがカッコいいし、ショーとして成立してるじゃないですか。メタルのある種、Mみたいな部分が好きなんですよ(笑)。がんばってやるっていうのが心に響く。追い込んでやるみたいな気持ちはこのバンドにも通じてますね(笑)。

――あと、ギターのリフって、ダンスミュージックのループ感に通じるなと。

辻村:それもあります。耳に残るギターフレーズが一番重要だなと思います。スウェーデンのEDMも耳に残るの多いじゃないですか。気持ちいいし覚えやすいし、口ずさめるし。歌よりリフを歌ってしまう、そういうものが作れたらなって。今回、そういう楽曲を作れたと思いますね。耳に残るもので、ちゃんとひねくれた部分も入ってるものが、すごくバランス良く録れたなって。

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