「DJという職種は遊びの延長じゃない」 DJ HAZIMEが9年ぶりのアルバムで問いかけるもの

20140108-art-dai.jpg9年ぶりにアルバムをリリースしたDJ HAZIME

 DJ HAZIMEのファースト・アルバム『AIN’T NO STOPPIN’ THE DJ』がリリースされたのは、いまからさかのぼることおよそ9年前のことだ。いまでこそ数多くのDJが自らのオリジナル・アルバムや、メジャー・レーベル配給のオフィシャル・ミックスCDをリリースすることが当たり前の時代となったが、当時は――クラブ・カルチャーにおいてはDJという職種が当然の事実だったとしても――リリースに漕ぎ着けるまでの道のりは、そう容易なことではなかった。

 リリース以降は本職であるクラブでのDJプレイをメインに、日本語ラップに焦点を定めたオフィシャル・ミックス『The Exclusives Japanese Hip Hop Hits』のリリースや、『I REP』や『Beats & Rhyme』といった配信シングルの発表で「DJ」という職種の信頼を獲得するために邁進してきたDJ HAZIMEだが、その期間で得た回答が、新作『AIN’T NO STOPPIN’ THE DJ Vol.2』に込められている。前作『AIN’T NO STOPPIN’ THE DJ』を振り返り、「その時代の自分の集大成」と太鼓判を捺したDJ HAZIMEだったが、セカンド・アルバムのリリースまでに要した9年という歳月は、決して短いと言える時間ではない。しかし、DJ HAZIMEというDJ、そしてアーティストにとっては、とても重要なタームであったことは紛れもない事実なのだ。

――前作から9年の時間を要した最大の理由というのは?

DJ HAZIME:単刀直入、アルバムをリリースできた“達成感”に尽きますね。クラブでレギュラー・イベントを持つこと、自分自身で楽曲を作り上げること、そしてオリジナル・アルバムをリリースするという、DJのキャリアをスタートさせてから思い描いてきたビジョンを完遂することができて、その満足感からかなかなか次の作品へ踏み込む気持ちになれなかったんです。とはいえ、DJの通常業務があり、『The Exclusives Japanese Hip Hop Hits』シリーズのリリースがあったり、実際問題、疲弊していた、というのもあります(笑)。ありがたいことにデビュー作リリース以降はDJ業も忙しくなったので。そんななか、時間を削って自分自身でトラック・メイキングまでこなす、という気持ちになれず、『I REP』や『Beats & Rhyme』を制作したことで、“他のトラック・メイカーに依頼することの楽しさ”を知ったんですよね。

――そこでおぼろげながらセカンド・アルバムのビジョンが見えてきた、ということでしょうか?

DJ HAZIME:そのときはそこまで考えていなかったんですよ。(新作のリード・トラックとなっている)『My Style』を制作したときに、「この調子で続けていけばアルバムになりそうだな」っていう不確かな自信が沸いてきて。そんなときにレーベルから「アルバムを出さないか」とお誘いをいただき、それが大きな原動力になった形です。

――自身が手掛けたトラックではなく外部からトラック・メイカーを招き、自分はプロデューサーの立場に回る、という点が前作とはまったく異なりますが、その最たる利点というのは?

DJ HAZIME:純粋に自分より良いトラックを作るトラック・メイカーが増えたことで、自分の作品をより客観的に見ることができること。自分の曲だからといって、自らトラックまで手掛けなければいけない必要性は特にないんですよ。トラックを誰に依頼し、起用するアーティストは誰がベストか、そしてどのようなテーマで曲を制作するか。そうして制作に臨んだほうが葛藤なく作り上げられるんですよね。前作のときは「俺ってすごいだろう!」と世にアピールしたい年頃ということもあり、階段を一段一段上がってきた作業の集大成にしたかったので、良い意味でのハングリー精神があった。でも9年の時間が経って、自分自身でトラックを作らないことでディスられようが、そこが本当に良い曲を作れるか否かのポイントではない、って判断できるようになったんです。

――ファーストが自主製作の映画であったのなら、新作は製作陣をプロに依頼し、メガホンを執った監督になるわけですよね。

DJ HAZIME:なにかしらのわだかまりがあればストレスになったんだろうけど、自分が信頼している人、この人なら間違いないだろう、と思った人を選んでいるからこそ、細かいことをいちいち気にせず制作に没頭できました。例えば、自分が頭の中でイメージしたものを機材に向かって作ろうとすると、それを形にすることができなかったりするわけで、それこそ制作のストレスになってしまう。けれど、依頼したトラック・メイカーはイメージ通りに曲を仕上げてくれて、それが制作の楽しさ、モチベーションにつながっていく。ちなみにこれまで所有していた機材は友人にあげて、自室からは姿を消しました。……人は変われるんですよ(笑)。

――機材の断捨離ですね。

DJ HAZIME:不必要なものをあげただけだから断捨離と言えるか微妙ですけどね(笑)。

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