2014年V系シーンの展望――ジャンルの壁の打破、そしてジャンル自体の底上げを
たとえば今年二月に新木場STUDIO COASTにて行われる「MONSTER BOX Vol.00」(ギルガメッシュ、NoGoD、lynch.等が出演することで話題を呼んでいる)は、上記の動画の冒頭で明確に「様々な音楽の壁を乗り越えられないバンドは死んだ」と宣言しているように「ジャンルレス」であることを打ち出しているイベントとして注目を集めている。
また、人気ヴィジュアル系バンド・SuGのボーカル武瑠のソロ・プロジェクト「浮気者」には、ゆよゆっぺ、たむらぱん、0.8秒と衝撃。等が参加。SuG自体も2012年にたむらぱんやBABYMETALとの合同イベントを行うなど、ジャンル外のアーティストと積極的に交流を図っている。今年も彼らの動きに注目したい。
その一方で「ジャンルの底上げ」に意識を向けているケースもある。近年90年代の人気バンドの曲を若手バンドがカバーするコンピが人気を博している。かつてのV系バンドファンと現在のファンを両取りするような企画はシーンの活性化につながっているように思う。シド主宰の「Visual BANG! ~SID 10th Anniversary FINAL PARTY~」のように、人気バンドが若手をフックアップする企画は今後も増えてほしいところ。
「ジャンルの壁」も「ジャンルの底上げ」も、どちらにせよジャンルとして確立されているからこそ起こる現象。今年もヴィジュアル系シーンの動向を見守っていきたい。
■藤谷千明
ライター。ブロガーあがりのバンギャル崩れ。執筆媒体は「ウレぴあ総研」「サイゾー」「SPA!」など。Twitter