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アーティストが語る“ミュージックヒストリー” 第十二回:GLIM SPANKY

GLIM SPANKYが語る、洋楽への入り口「The White Stripesには音の時代の差を感じなかった」

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 隔週木曜日の20時~21時にInterFM897でオンエアされているラジオ番組『KKBOX presents 897 Selectors』(以下、『897 Selectors』)。一夜限りのゲストが登場し、その人の音楽のバックボーンや、100年後にも受け継いでいきたい音楽を紹介する同番組では、ゲストがセレクションし、放送した楽曲をプレイリスト化。定額制音楽サービスKKBOXでも試聴できるという、ラジオと音楽ストリーミングサービスの新たな関係を提示していく。9月21日の放送には、GLIM SPANKYから松尾レミ(Vo/Gt)と亀本広貴(Gt)が登場。“自身が影響を受けた音楽”と“100年後に残したい音楽”を紹介する。今回はそのプレイリストから彼らの音楽性を掘り下げるべく、同回の収録現場に立ち会った模様の一部をレポートしたい。

The White Stripes「Seven Nation Army」

 松尾がまず自身のルーツとして挙げたのは、The White Stripes「Seven Nation Army」(アルバム『Elephant』収録)。松尾は中学生の時、父親の友人であるブルースマンから「最近イケてるロックバンドがあるから」と勧められ、同曲が収録されたThe White Stripesの『Elephant』に出会ったという。松尾は当時について「60’sのロック云々とかはわからなかったけど、家では常にレコードが流れていた。でも、中学校の時に聴いていたのは音圧があって耳に張り付くクリアなサウンドだったから、昔のレコードが流れていても『サウンドが古いな』と思ってしまっていた」と語り、続けて「でも、The White Stripesには音の時代の差を感じなかった。ロックは好きだけど聴けないという感覚が取っ払われてからは、色んな世代のロックを聴くようになった」と、彼らがきっかけでロックンロールを聴くようになったことを明かした。

 現在でこそ、個性を持ちながら大衆にも届く音楽を鳴らしているGLIM SPANKYだが、筆者が彼らに出会った2012年ごろは、まさにThe White Stripes的なガレージロック・ブルースロックをクールに鳴らすバンドだった。そのことから考えても、まさにGLIM SPANKYを形作る音楽の一つであることは間違いないし、男女2人組という点は、彼らの活動形態にも共通する。これからキャリアを重ね、世界の舞台を目指すにあたって、The White Stripesが彼らに与えた影響は、きっと良い方向に作用してくるだろう。

U2「With or without you」

  続けて亀本が同じテーマでピックアップしたのは、U2の「With or without you」(アルバム『The Joshua Tree』収録)。亀本は高校生からギターを始め、そのルーツはGLAYにあるのだが、周りの大人からは「The BeatlesやLed Zeppelinを聴きなさい」と言われて聴いてみたものの、当時は見た目も含めてあまり受け付けなかったそうだ。だが、GLAYがシングルのカップリングでThe Beatlesの「Mother Nature’s Son」やU2の「With or without you」をカバーしていたことをきっかけにU2の原曲を聴いたところ、自分の感覚にもハマり、見た目も含めて好きになったという。亀本は「そこから洋楽をどんどん聴くようになった」と語っており、まさにGLAYが入り口として機能していたことがわかる。

The Jimi Hendrix Experience「All Along the Watchtower」

 また、「音楽を続けていく中で影響を受けていると感じる曲」というテーマで、亀本はThe Jimi Hendrix Experienceの「All Along the Watchtower」(ライブアルバム『Blue Wild Angel: Live at the Isle of Wight』収録)をチョイス。この曲は亀本が大学時代、軽音楽部でギターを猛練習していた時期に聴いていた曲らしく、iPodに『Axis: Bold As Love』や『Electric Ladyland』だけしか入れず、同じアルバムを1カ月ずっと繰り返し聴いていたほど強く影響を受けていたらしい。ジミヘン楽曲全般に言えることだが、そのなかでもこの曲はギターソロとチョーキングの多さが特徴。亀本はこのことについて「色んなギター教則本を読むと、速弾きの方法ばかり書いてあるんですよ。でも速弾きはしたくないと思っていろんなものを見ていると、『チョーキングはピッチが大事』と書いてあって。だからこの曲でチョーキングを練習していました」と明かした。亀本にとって、ジミヘンは音楽を聴く上でのルーツでもあり、プレイヤーとしての原点でもある。だからこそ、その影響がより色濃く出ているのだろう。

MGMT「Time to Pretend」

 そして、松尾は同じテーマにMGMT「Time to Pretend」(アルバム『Oracular Spectacular』収録)を挙げ、「自分の聴いてきた音楽の偏見を超越した場所にいた」とコメント。彼らをかじりつくように聴いているのはここ最近の話だそうで、それまでは60〜70年代のサイケデリック・ロックを好んで聴いていたという。そういった音楽を再現しているバンドがいないと感じていた松尾だが、サイケデリックなポップを鳴らしていて、クールなスタンスで、ロック好き以外にも波及しているMGMTの存在を知り、「なんて懐の深い音楽だ」と感銘を受けたそうだ。それまでは彼女のなかにある種の年代感、つまり世代で音楽を聴くし、その優劣を自分のなかで判断しているという概念があったようだが、MGMTはそれを見事に取っ払い、彼らをきっかけに最近の音楽に興味を持つようになったという。先述したが、いまのGLIM SPANKYはルーツのロックを鳴らすだけではなく、そこに2010年代ならではのエッセンスを加え、ポップさも含ませた音楽性へと進化している。「ルーツの音楽を今の人たちに楽しんでもらうにはどうしたらいいか」ということを考えている2人にとって、MGMTは格好のお手本というわけだ。

 なお、番組ではほかにも、彼らの“100年後に残したい音楽”として「松尾の意外なお風呂ソング」や、「亀本の考えるオーセンティックな音楽の現在形」、9月13日リリースの3rdアルバム『BIZARRE CARNIVAL』についてのトークも行われた。

 ルーツの音楽を大事にするバンドだからこそ、その原点と現在形を振り返ることで、新たな良さを感じられる。そんなことを踏まえながら、今回紹介した楽曲を聴いてみると、彼らの進化過程をよりしっかりと捉え直すことができるはずだ。

(文=中村拓海)

■番組情報
KKBOX presents『897 Selectors』
DJ:野村雅夫 
放送日:毎月第一・第三週木曜20:00からInterFM897でオンエア
次回ゲスト:GLIM SPANKY 松尾レミ(Vo/Gt)と亀本広貴(Gt)(9月21日放送)
番組ホームページ

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