「CoD」シリーズ最新作『BO6』、ライバルたちとの違いは? 群雄割拠のFPS界での“強み”を考察

「CoD」シリーズ最新作『BO6』の強みとは?

 6月10日に開催された『Xbox Games Showcase 2024』では、世界的人気を誇るFPS「Call of Duty」(CoD)シリーズの最新作『Call of Duty: Black Ops 6』(以下、BO6)がお披露目となった。発売日は2024年10月25日を予定している。

Black Ops 6 - 公開ゲームプレイトレーラー

 本稿では、本作の公開トレーラーを振り返り、読み取れる情報や考察できそうなポイントを取り上げていく。ほかにも、無料の人気FPSがしのぎを削る現状で、『CoD』側が取っている対策などについての考察も合わせて掲載している。

Treyarchが手がける、サスペンスでミステリーな『CoD』

 公開されたトレーラーでは、冒頭から実写のシーンが登場。1991年のソビエト連邦崩壊を伝えるナレーションとともに、暴動や戦争のシーンが垣間見えるほか、ビル・クリントン元大統領や、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領と思しき人物が実写と思しき映像によって映し出されていった。

 「CoD」は開発している会社によってサブタイトルが変わったりするのだが、その種類は大まかに分けて、InfinityWordが手がける「Call of Duty: Modern Warfare」(以下、モダン・ウォーフェア)と、Treyarchの「Call of Duty: Black Ops」(以下、ブラックオプス)というふたつのシリーズがある。「ブラックオプス」シリーズはムービーに実写を取り入れているのが特徴で、今回のトレーラーでは、そのおなじみとも言える演出が健在であることも確認できた。

 一方で、「ブラックオプス」シリーズのキャラクターも登場するようだ。今回のトレーラーでは、1作目の『Call of Duty: Black Ops』を始め複数の作品で主人公を務めたアレックス・メイソンの相棒、フランク・ウッズのほか、『Call of Duty: Black Ops Cold War』から登場したラッセル・アドラーの姿が視認できる。

フランク・ウッズ
フランク・ウッズ
ラッセル・アドラー
ラッセル・アドラー

 車椅子に乗っているウッズが印象的だが、これはシリーズ2作目の『Call of Duty: Black Ops 2』(以下、BO2)での出来事が原因だろう。『BO2』のストーリーは1980年代と2025年を描いているのだが、1989年の作戦でウッズは両足を銃で撃ち抜かれている。映像冒頭で表示された1991年という西暦や、ウッズが車椅子姿であること、さらに公式サイトでは「湾岸戦争」(1990~1991)という単語が出てくることから、『BO6』の話は1990~1991年あたりをベースに描かれるのかもしれない。

マネキンに襲われるシーンも。普通に考えてあり得ないが、「ブラックオプス」シリーズのストーリーは洗脳や幻覚がカギになることもあるため、これもそうした背景があるのかもしれない
マネキンに襲われるシーンも。普通に考えてあり得ないが、「ブラックオプス」シリーズのストーリーは洗脳や幻覚がカギになることもあるため、これもそうした背景があるのかもしれない
「BIO HAZARD(生物災害)」と書かれたなにか。過去作では「ノヴァ6」という毒ガス兵器が登場しており、不穏な印象を受ける
「BIO HAZARD(生物災害)」と書かれたなにか。過去作では「ノヴァ6」という毒ガス兵器が登場しており、不穏な印象を受ける

 ウッズやアドラーといったキャラクターや、生物災害という不穏な文字、ストーリーの背景になるであろう1991年など、今回公開された2分11秒のなかでさまざまな情報が明示された。今後のさらなる続報に期待したい。

 ほかにも、YouTube上にある『CoD』の海外公式チャンネルでは、関係者が『BO6』のシステム面についても言及している「Call of Duty: Black Ops 6 Direct」も公開中だ。前後左右へのダッシュなどが可能になった「オムニムーブメント」、障害物の乗り越えや閉所へのスライディング移動などを自動で行ってくれる「インテリジェントムーブメント」など、これまでなかった新たな試みが確認できるので、ぜひチェックしてみてほしい。日本向けの公式チャンネルでは、上記の内容をまとめたお手軽版とも言える動画もあるため、手早く知りたいならこちらがオススメだ。

Call of Duty: Black Ops 6 Direct
ハセシンの3分でわかるBlack Ops 6 Direct

バトルロイヤルやスマホ向け、サブスク対応……形を変えて時代に適応する「CoD」

 記念すべき第1作にあたる2003年の『Call of Duty』に始まり、「モダン・ウォーフェア」シリーズの始まりとなった2007年の『Call of Duty 4: Modern Warfare』(以下、CoD4MW)や、「ブラックオプス」シリーズを始め、その後に続く多数の続編、派生作品を経て、『CoD』はいまや世界的なFPSになった。

 それまで筆者がもっとも長く遊んだシリーズ作品は『BO2』だったが、「モダン・ウォーフェア」シリーズのリメイクとして2019年に発売された『Call of Duty: Modern Warfare』(以下、CoD:MW)のマルチプレイは同じくらいやり込んだ。「CoD」は年々マルチプレイが洗練されており、そのひとつの到達点とも言えるのが『CoD:MW』だと考えている。撃ち合う時間の短さやキャラクターの動作のすばやさなどからくるマルチプレイのスピード感もそうだが、銃のパーツを組み替えて性能を大きく変えられる「ガンスミス」もよかった。

 『CoD:MW』は3000万本以上を売り上げ、その続編である『Call of Duty: Modern Warfare II』は発売から10日間で売り上げが10億ドルを突破、3作目の『Call of Duty: Modern Warfare III』(以下、MWIII)はレビューサイトのMetacriticで酷評されたものの、リメイク版「モダン・ウォーフェア」シリーズ全体がもたらした売上や宣伝効果は計り知れない。

 とはいえ、最近はライバルも多い。『Apex Legends』や『VALORANT』にくわえ、5月にリリースされた『エックスディファイアント』など、無料で遊べて人気もあるFPSは少なくないのも事実だろう。「CoD」シリーズがほかのタイトルに対抗するべくどのような手段を講じているのか気になるが、少なくとも新規層の取り込みについては大丈夫そうだ。

 というのも、いま「CoD」を遊ぶための手段は多い。ひとつは『Call of Duty: Warzone』(以下、ウォーゾーン)。最大150人のプレイヤーがひとつのフィールドに降り、最後の生き残りになるまで戦うバトルロイヤルで、基本プレイは無料。家庭用ゲーム機のほか、PCでも遊べる。ふたつ目はスマートフォン向けに配信中の『Call of Duty Mobile』(以下、CoD モバイル)で、こちらも同様に無料。『ウォーゾーン』のようにバトルロイヤルモードもできるが、こちらはさらにマルチプレイも可能だ。つまり、PS5などの家庭用ゲーム機にこだわらなければ、「CoD」は無料でプレイできる。

 さらに今回発売予定の『BO6』は、マイクロソフトが提供しているサブスクリプションサービス、Xbox Game Passの対象となる。同サービスは一番上のプラン「Ultimate」だと毎月1210円かかるが、『BO6』だけでなくほかのゲームも遊び放題、オンラインマルチ機能やクラウドゲーミングなども用意されている点を踏まえれば、利用者側のメリットもそれなりだろう。Xbox系だけでなく、PCで使える点も大きい。無料でプレイできる『ウォーゾーン』や『CoD モバイル』に、サブスクリプションの対象になった『BO6』。「CoD」シリーズの発売元であるActivisionが、基本プレイ無料やサブスクに慣れ親しんだ世代や層の獲得に本腰を入れているのが分かる。

 『CoD』は、キャラクターの特殊な力を使って戦う、いわゆるヒーローシューター系の作品ではない。それを地味で華がないと捉えるか、シンプルでわかりやすいと考えるかは人によるものの、アビリティを使った作戦を立てる必要がない分、プレイヤーに求められるハードルは比較的低いだろう。シリーズに連なる各作品もシンプルな撃ち合いが基本であり、場合によってはミサイルや空爆を交えた派手な戦闘もできるので、『CoD』は見た目こそ硬派だが、中身は意外とカジュアルだ。『CoD4MW』からシリーズを遊んでいる身としては、日本での「CoD」の人口を少しでも増やしたいので、『ウォーゾーン』や『CoD モバイル』、『BO6』と、手軽に「CoD」に触れる方法はあるのだということはしっかり書いておきたい。

 『BO6』の新トレーラーの解説とともに、『CoD』はほかの無料FPSに対抗して同じ料金体系の作品をすでに用意していること、さらにシリーズ最新作をサブスクの対象とし、ライト層にも本格的に売り込んでいることなどについて、今回は言及した。作品によって細かな違いはあるが、カジュアルかつシンプルな撃ち合いを継承し続けている「CoD」が、今後もFPSというジャンルの最前線で活躍してくれることを願う。

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