ゲームはもちろん、音楽鑑賞用としても一級品のDACアンプ Fosi Audio『K7』を先行レビュー

ゲーミングDAC Fosi Audio『K7』レビュー

 今回はFosi AudioのゲーミングDACアンプ『K7』のレビューをお届けする。

 同製品はクラウドファンディングサイトのMakuakeにて1月16日より先行販売が開始されており、3月1日まで購入を受け付けていた。

 本稿執筆時点で購入総額は460万円を超えており、目標金額に対して2300%超えの成功を達成(※編注:最終的に560万円、2800%超え)していることからも、その注目ぶりがうかがえるだろう。

そもそも「ゲーミングDACアンプ」とは?

 

 

 さて、書き始めたは良いものの、「ゲーミングDACアンプって何?」という疑問を浮かべた方も多いのではないだろうか。

 まず、DACアンプとは、音楽を再生する際にデジタル信号をアナログ信号に変換する機器を意味するDAC(Digital Analog Converter)に、音声信号を増幅するアンプを組み合わせたものだ。端的にまとめると、これをPCなどのデジタル機器と、ヘッドホンやスピーカーなどの再生機器の間に繋ぐことで、音質を良くすることができる。

 そして、「ゲーミング」というのは、決して七色に光り輝くというわけではなく(むしろ『K7』のデザインはシンプルで洗練されている)、環境音や敵の鳴らす音を正確に捉えられたり、迫力のあるサウンドを鳴らせるような性能を持つことを意味している。

 ゲーミングにおいて求められる音質と、音楽鑑賞において求められる音質は、必ずしも一致するわけではない。例えば、『VALORANT』などのFPSゲームで流れているBGMをしっかりと聴くためにゲーミングヘッドホンを購入するというプレイヤーは、きっとそこまで多くないだろう(おそらく、敵の足音を正確に捉えたいという需要の方が多いはずだ)。

 とはいえ、せっかくお金を出すのだから、普段の音楽鑑賞においてもしっかりと活躍してほしいと思ってしまうのも実情だ。『K7』は、そんなゲーマーのワガママに応えてくれる、「ゲームと音楽を極める、オールインワン HiFi アンプ」として開発された製品である。

「ゲーミング」という言葉に甘えることのない、堅牢で充実したスペック

 実際のレビューに入る前にスペック面をまとめておくと、まず注目すべきは「ゲーミング」という言葉に甘えることなく、DACチップ(デジタル信号をアナログ信号に変換するパーツ)に、SHANLINGの『H5』やFIIOの『K7』といった良質なDACアンプにも使用されている旭化成エレクトロニクスの『AK4493SEQ』を使用しているという点だろう。

 その他のチップセットもしっかりと選定されており、この時点で安心感がある。ロスレス再生にも対応しており、PCM 384kHzやDSD256といったハイレゾ音源もサポートしているため、ディープなオーディオマニアでも満足できるのではないだろうか(さすがにDSD512は対応範囲外)。

 また、入出力周りについても、入力はUSB-C以外にBluetooth、光デジタル、同軸が対応しており、出力は3.5mm(アンバランス)以外に4.4mm(バランス)とRCAに対応している。Bluetooth(aptX HD、aptX LL、aptX、AAC、SBC対応。ただしハイレゾ相当のLDACには対応していないため注意)が使えるカジュアルさと、バランス接続にも対応しているというオーディオマニア向けの機能を両立しているあたりに、本製品の間口の広さを感じられる(とはいえ、個人的には、普段USB接続のゲーミングヘッドホンを使っているため、USB出力もあると有り難かったなとは思っている)。

 特徴的なのは、こうしたDACアンプとしての入出力に加えて、前面に3.5mmマイク入力端子が用意されていることだろう。これはいわゆる一般的なDACアンプではなかなか見ないものだが、『K7』がゲーミングデバイスであることを踏まえれば納得だ。本製品にはマイク入力の音量調整やミュート機能が備わっており、まさにPCゲーミングにおけるオーディオ周りの機能を一箇所に集約することができるというわけである。

 実際、『K7』の取り回しの良さは素晴らしく、サイズに関しても「やや大きめのスマートフォン」に厚みをもたせたくらいの印象で、ちょっとしたスペースがあれば設置に悩むことはない。

 端子の配置も自然で無駄がなく、デザインもシンプルで洗練されているため、気軽に既存のゲーミング環境に導入することができるだろう(筆者の場合は箱から取り出して数分ほどでセットアップが完成した)。それなりに重さもあり、ちゃんと底面に滑り止めも付いているので、安定感もバッチリである。

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