『VIVANT』前半戦のMVPは“新庄”竜星涼だ “死亡”でも再登場を願いたくなる圧倒的な熱演

衝撃の事実が次々と襲いかかる日曜劇場『VIVANT』(TBS系)。別班を拉致した組織の正体が中国の諜報機関「Xinxi(シンシー)」だと判明したのも束の間、野崎(阿部寛)がシンシーに潜入する二重スパイであることが発覚。主人公の乃木(堺雅人)でさえ混乱してしまうほど、過去と現在が複雑に絡み合うストーリーが展開されている。

そんな本作をここまで観たうえで、前半戦のMVPを挙げたいのが竜星涼演じる新庄だ。第2シーズンのキーとなる人物だと予想されてはいたが、放送前はここまで見せ場があるとは思わなかった。公式サイトでは「死亡」と表記されているものの、まだまだ物語に波乱を起こす予感を漂わせており、視聴者の間では生存説も囁かれるほどの人気ぶり。それもまた、竜星が新庄というキャラクターを魅力的に輝かせたからこそだろう。実際、公安部の部長・佐野(坂東彌十郎)が遺体の検死を回避して、火葬を優先させたことは不自然だった。タイ警察に連行される際、首元にピンク色のガムが貼りついていた理由も明らかにされていないため、視聴者が新庄の復活に期待を寄せるのも当然といえば当然だ。
第1シーズンの新庄といえば、バルカ警察に追われる乃木と薫(二階堂ふみ)を助けるなど、野崎の右腕としてバルカと日本を奔走する姿が印象的。警視庁公安部のなかでも乃木たちと接する機会が多い人物で、仕事ができる頼もしい存在だったからこそ、彼がテントのモニターとして裏切りに加担していた事実には度肝を抜かれた。
そして、第2シーズンではこれまで描かれることのなかった新庄の本心が明らかになる。テントのモニターとして暗躍し、ベキの脱走を手助けした新庄はチョッキー(OHM)の協力を得て、海外へと逃亡。ただ、機密情報が流出した別班が彼をそのまま逃がすはずがなかった。プライベートジェットを操縦してタイへと入国した新庄を追い詰めた乃木は、彼を匿っていたチョッキーもろとも捕らえることに成功する。

竜星演じる新庄の集大成となったのが、乃木による尋問シーン。第1シーズンでアリ(山中崇)が乃木に家族を人質に取られ、脅迫された場面が記憶にこびりついていた視聴者にとっては、新庄の尋問シーンも既視感のある映像だったはず。しかし、気づけばいつの間にか竜星の鬼気迫る芝居に視線が釘付けになっていた。堺雅人が演じるFの恫喝にも臆すことなく、強い意思で真っ向から対峙して、頑なに黙秘を貫く。絶望に支配されそうになりながらも、崇拝するベキを撃った乃木に対する憎しみを押し殺す。その後、殺されたと思っていた両親が生きていたことがわかると、一気に緊張の糸が切れたような表情を見せる。長回しで撮影された一連のシーンには、感情を乱高下させてもなお、新庄というキャラクターの核となる生き方が凝縮されていた。並々ならぬ思いを背負って演じたであろう竜星の熱量も含めて、本作のハイライトとなる一幕だった。



















