川原杏奈、吉田恵里香、野木亜紀子ら ドラマ脚本家の手がけるアニメが急増の理由

吉田恵里香らドラマ脚本家のアニメ急増の理由

 一方、『銀河の一票』の蛭田直美が脚本を担当した『Turkey!』は長野県千曲市を舞台にしたボウリング部に所属する女子高生5人の日常系青春アニメかとキービジュアルでは思ったが、第1話終盤で5人が戦国時代にタイムスリップするという超展開を迎え、殺し殺されることが日常化していた戦国時代から5人は何とか生き延びて現代に戻ろうとする。ボウリングと戦国時代を強引に繋げたように見える本作だが、テーマとモチーフの意味を真摯に追及する蛭田直美の作風がとてもよく出ており、全ての要素を活かした上で、最終的に青春アニメとして着地する傑作に仕上がっていた。

TVアニメ「Turkey!」ノンクレジットOP|長野県一刻館高校ボウリング部『ヒャクニチソウ』

 また、『高校教師』(TBS系)等のテレビドラマで知られる野島伸司が脚本と原案を担当した『ワンダーエッグ・プライオリティ』は、不登校の女子中学生が主人公のファンタジーテイストの作品で、現実に居場所のない少女たちの内面に切り込むスタンスは、野島伸司の作家性が色濃く表れていた。

 2021年に放送された本作は、少女たちを主人公にしたファンタジーテイストの世界観と、社会性のある生々しい描写に、脚本家の作家性が色濃く表れているという意味において、その後のドラマ脚本家によるオリジナルアニメの先駆けとなる作品だと言える。

 アニメが得意とする10代の少年少女が主人公のファンタジーテイストの作品は、今のテレビドラマでは減っており、学園ドラマも教師が主人公の大人目線のものが主流である。

 1990~2000年代は、若手俳優やアイドルが主演の学園ドラマやファンタジーテイストの作品がプライムタイムでも放送されていたが、近年は深夜枠でたまに放送されるくらいだ。

 『前橋ウィッチーズ』や『Turkey!』を観ていると1990~2000年代に放送されていた若者向けのドラマを思い出して懐かしくなるのだが、アニメならまだ成立すると知ったのは一つの発見だった。

 逆に、アニメにドラマ脚本家が起用される機会が増えているのは、1クールの作品が増えたことで、物語の組み立て方がテレビドラマと近くなっているからではないかと思う。

 テレビドラマの多くは1クールだが、オリジナルの名作が多く、作家性のあるドラマ脚本家を多数輩出してきた。

 近年は原作モノの作品や、複数の脚本家がチームを組んで執筆するライターズルーム形式も増えているが、一人の脚本家がオリジナルドラマを執筆する機会が今もまだ多い。

 何より、1クールで物語を展開して最終話でまとめ上げる作劇に関しては、これまで積み上げてきた知見がある。

 1クールの作品が主流になったことでアニメも、テレビドラマの脚本の作劇手法を取り入れやすくなっているのだろう。

 この流れはまだまだ続きそうで、2027年には『アンナチュラル』(TBS系)や『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)といったテレビドラマで知られる野木亜紀子が脚本を手掛けるアニメ『LONA』が放送される。

 本作は脳科学がモチーフのSFアニメで、死者の脳を解析することで「死んだはずの人間に、襲われる」という謎の究明をする脳神経解析研究室が舞台の物語となるそうだ。

 ドラマ脚本家がオリジナルアニメを手掛けることで、アニメとドラマ、双方の良さを持った作品がこれから増えていくのではないかと、楽しみである。

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