菅田将暉が築き上げた愛すべき軍師・竹中半兵衛 『豊臣兄弟!』はキャリアの“重要作”に

『豊臣兄弟!』は菅田将暉の重要作に

 NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第23回のタイトルは「さらば半兵衛」。秀吉(池松壮亮)の参謀・竹中半兵衛(菅田将暉)がラストを飾る回だ。

 半兵衛が本格登場したのは、第9回「竹中半兵衛という男」から。登場と退場回のどちらにおいても名前がついているのは、今のところ半兵衛のみである。登場当初は変わり者という印象が強くあった。庵に閉じこもったまま、喋らず、会話は紙での筆談。庵の中には、精巧に再現された小牧山城の模型があり、天才的な軍略家としての才に小一郎(仲野太賀)と秀吉はたちまち魅了されていった。

 鋭い観察眼から明智光秀(要潤)の従者を足利義昭(尾上右近)だと見破り、あるときには信長(小栗旬)のもとに市(宮﨑あおい)から届いた陣中見舞いの小豆には「前と後ろを塞がれた“袋のネズミ”を意味しているのではないか」と進言。知略に長けた軍師として秀吉や小一郎だけでなく信長からも一目置かれる存在となっていった。

 筆者が印象深かったのは、第14回「絶体絶命!」で“しんがり”を担うこととなった小一郎、秀吉とともに半兵衛も櫓で辺りを見張るシーン。浅井長政(中島歩)の謀反を感じ取っていたもののそれを黙っていた半兵衛の肩を抱き、小一郎は「もっとわしらを信じてくだされ」と投げかける。その直後、小一郎と秀吉はいつものようにくだらない口喧嘩を始める。そこに挟まれたのは半兵衛。思ったことをそのまま口にする2人に「分かりました! 次からはそういたします」と半兵衛は約束する。

 半兵衛にとって小一郎と秀吉は、ひとりぼっちだった自分を庵から連れ出してくれた存在だ。蜂須賀正勝(高橋努)も含め、無邪気にまるで“青春”を謳歌するかのように、半兵衛は打ち解け少しずつ明るくなっていく。半兵衛にとって運命の出会いとなったのが官兵衛(倉悠貴)の登場。同じ軍師としてライバル心を燃やしながらも、自身の死期が近いことを悟る半兵衛にとっての後継者でもあった。あえて厳しく接してしまうのは、若さへの嫉妬心か。

 菅田将暉によるユーモラスな“変顔”ともい言える豊かな表情が衝撃的だが、仲野太賀から「半兵衛はギークなおもしろさがあるといいんじゃないか」と提案され、菅田は「オタク気質な感じ」を探していったようだ(『NHK大河ドラマ・ガイド 豊臣兄弟! 後編』(NHK出版)より)。初登場時にあった飄々とした底の知れないミステリアスさは徐々に薄まり、頼れる軍師、そして仲間というイメージが強くなっていった。変わらないのは、侍としての内に秘めた熱き闘志、野心。半兵衛は小一郎や秀吉とは異なる知略で戦に生きた男だった。

菅田将暉、『豊臣兄弟!』でも伝説を残すか 『おんな城主 直虎』『鎌倉殿』の名演を振り返る

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の第7回のラストで流れた次回予告に「孤高の軍師現る」として、竹中半兵衛役の菅田将暉が登場した。「こ…

 菅田が大河ドラマに出演するのは、『おんな城主 直虎』(2017年)、『鎌倉殿の13人』(2022年)に続き、今作が3度目。過去に演じた井伊直政や源義経と同じカリスマ性を持ち合わせているが、病弱で非力な武将ながら知略で乱世を駆け抜ける、菅田にとっての新たな大河での印象を打ち立てた。主演の仲野太賀とは10代の頃からの友人。映画『タロウのバカ』や菅田主演のドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)など多くの共演作があるが、仲野と菅田2人だからこその小一郎と半兵衛をここまで築き上げられたようにも思える。第23回の予告は様々な登場人物が「半兵衛!」と呼び続けるという構成になっており、周りからどれだけ慕われていたかが伝わる演出となっている。

 小一郎と慶(吉岡里帆)との間に産まれる子供を抱くシーンがすでに話題となっているが、縁の深い信長を演じる小栗旬との共演はもちろん、最後に映画『アルキメデスの大戦』やドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)で共演してきた寧々を演じる浜辺美波とのシーンも実現してほしいところだ。

 半兵衛のトレードマークである扇子。菅田は自身のX(旧Twitter)にて、『豊臣兄弟!』の宣伝とともに「パッチン」「パチンパチン」「チパンチッ」といったように扇子を開閉する音を毎週ポストしてきたが、それも今週で見納めとなってしまいそうだ。

■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-P52L88MYXY
公式X(旧Twitter):@nhk_toyotomi
公式Instagram:@nhk_toyotomi

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