『豊臣兄弟!』“市”宮﨑あおいが示す織田家の絶望 井上和登場でお家存続をめぐる愛憎劇へ

『豊臣兄弟!』お家存続をめぐる愛憎劇へ

 2週間ぶりの放送となった大河ドラマ『豊臣兄弟!』第30回で描かれたのは清須会議。信長(小栗旬)と信忠(小関裕太)亡き後の、織田家の後継者と領地配分を決めるための重臣会議だ。ここから織田家内部の争いが起こり、秀吉(池松壮亮)と勝家(山口馬木也)が激突する「賤ヶ岳の戦い」、さらに「小牧・長久手の戦い」へと発展していくこととなる。「このわしが上様の思いを継ぐ」と小一郎(仲野太賀)に誓った秀吉は、その言葉通り天下取りに向けた優位な足がかりを築いていく。平伏す諸将のなか、勝家は怒りと悔しさを滲ませていた。

 清須会議への参加者は、織田家の重臣である秀吉、勝家、丹羽長秀(池田鉄洋)、池田恒興(堀井新太)の4人。家督を継ぐのは信忠の忘れ形見・三法師(清水伊織)だが、まだわずか3歳。元服するまでの名代として、信雄(山脇辰哉)か信孝(結木滉星)のどちらを推挙するかが前提のなか、秀吉は家老の4人がそれぞれの強みを活かしながら、全員で三法師を支える後見役となるべきだと主張する。それに真っ向から反対したのは勝家。大嫌いな秀吉から市(宮﨑あおい)を娶ることを提案され、勝家は苛立ちを強める。

 そんな折に起こった、三法師の連れ去り事件。小一郎とともに捜索に力を合わせた4人は、秀吉の言う通りに全員で三法師を支えていく道を選択した。しかし、蓋を開けてみれば、家督を継いだ三法師の初お披露目でその隣に座っていたのは秀吉だった。自他共に認める“調子の良さ”で勝家らを出し抜き、信雄と信孝を押さえ込んだ秀吉は、満面の笑みで勝ち誇っていた。三法師の誘拐を企てた信雄をあえて見逃すことで、自身の“助け”とした秀吉。有言実行で、天下一統へと歩みを進める秀吉を、小一郎は真っ直ぐな眼差しで見つめていた。

 第30回で驚くのは、市の別人のような姿だ。兄・信長を失くした喪失感から立ち直れない市は塞ぎ込んでしまっていた。かつての美しく凛とした佇まいの市とは思えぬ、見る影もない姿。秀吉でさえも言葉に詰まる、みすぼらしさ、それはまるでホラーだ。特筆すべきは兄とともに生きた過去、思い出を回顧し、未来を決める清須会議を見捨てていること。そんな市にとって、ある種未来を向くトリガーになるのが、「この秀吉が上様に変わって、織田家をお守りいたしまする」という秀吉の一言だ。市が秀吉に向けるのは、あの頃とは異なる懐疑的な目線。やらねばならぬこと=織田家を守るという使命のため、市は勝家と夫婦になることを決め、これが後の「賤ヶ岳の戦い」へと繋がっていく。織田家のために生きることを決めた市は、再び元の美しさを取り戻している。

 第30回では市の長女・茶々(井上和)が本役で登場した。まだそこまで出番が多いわけではないが、秀吉が再会した茶々の容姿を絶賛していること、母である市を大切に思い、亡き父の浅井長政(中島歩)の面影を追っていることが強調されている。豊臣家をつくった者と、終わらせた者――豊臣家と織田家の愛憎劇が静かに幕を開けた。

■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-P52L88MYXY
公式X(旧Twitter):@nhk_toyotomi
公式Instagram:@nhk_toyotomi

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