『豊臣兄弟!』記憶を失くした“秀吉”池松壮亮に驚愕 “令和の太閤記”として描いた兄弟の絆

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、市(宮崎あおい)の浅井長政(中島歩)への介錯を筆頭に、一夜で築いたのではなく一夜で消えた墨俣一夜城、松永久秀(竹中直人)のド派手な爆死など、史実の網の目を縫ったエピソードが度々話題になっている。
そもそも『豊臣兄弟!』の制作が発表された際に、制作統括の松川博敬は「天下人・豊臣秀吉の一代記である『太閤記』。この日本史上最も有名なサクセスストーリーを「兄弟の絆」というテーマで令和の時代によみがえらせます。」とコメントしており(※)、いうなれば本作は“令和の太閤記”。久秀の最期に言い放った「何が本物で何が偽物かなどそんなものはどうでもいい!」は史実とフィクションが入り混じった『豊臣兄弟!』を見事に表した、言いえて妙なセリフとして話題になった。そして、第22回「播磨大誤算」では秀吉(池松壮亮)が記憶を失うという驚きの展開を迎えることとなる。

秀吉は尼子勝久(渡邉蒼)と山中幸盛(廣瀬友祐)たち味方を見捨てて上月城を撤退したことから、自責の念に苛まれていた。それは悪夢にうなされるほどに。夢か幻か。ある夜、円教寺にて秀吉は足を踏み外して頭を打ち、記憶を失くしてしまう。小一郎(仲野太賀)や蜂須賀正勝(高橋努)、宮部継潤(ドンペイ)の思い出話でありそれぞれの名言、名場面(現実ではありえないメタ視点)を再現するも、秀吉の記憶が戻ることはなく、覚えていない人を呼び捨てはできないという理由から「小一郎殿」と呼ぶ始末だ。
秀吉は母・なか(坂井真紀)の姿、そして小一郎の兄を思う気持ちをきっかけに記憶を取り戻していく。なかを見た瞬間に記憶は蘇ってはいたが、秀吉は情けない自分には戻りたくはなかった。そんな秀吉の心を開かせたのが、小一郎の兄への熱き思い。小一郎には忘れたくない兄との思い出がたくさんあった。「これまでしんどいことも、楽しきことも、2人で一緒にやってきたんじゃ! なかったことにはできんぞ」という小一郎の思いに感化され、秀吉もつらい記憶ではなく、これまで共に歩んできた兄弟の記憶、絆を再確認することができた。己の名を書きながら願掛けすれば、どんな願いも叶うが災いが降りかかると言われる円教寺の柱。上月城での惨劇以上に、秀吉にはこれからも苦しいことが山ほどある、その災いを半分引き受けると小一郎は約束した。まるで人が変わってしまった大人しい秀吉だけでなく、兄弟がまた百姓に戻るという選択、秀長の代わりに小一郎が天下人になったかもしれない、“if”のルートを想像させてもいる。

創作としての要素が強い第22回だが、最後に待ち受ける荒木村重(トータス松本)謀反の知らせは史実通りである。刀に刺した饅頭を村重に向ける信長(小栗旬)という有名な“刀饅頭”の逸話でしっかりと大河ファンの期待にも応えている。謀反を焚きつけたのは、毛利の使者・安国寺恵瓊(立川談春)。脚本の八津弘幸は、『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)にゲスト出演していた際、俳優としての立川談春の演技を称賛していたが、右眉を吊り上げ、片目を瞑り、不気味に囁く談春がいぶし銀の魅力を放っている。

次回の週タイトルは「さらば半兵衛」。自身の死期を悟るようなセリフを口にし、突然倒れてしまった半兵衛(菅田将暉)の“退場”を確信させる予告となっている。かつて“ひとりぼっち”だった半兵衛が小一郎や藤吉郎たちと出会い、彼もまた忘れられない、忘れてたくないたくさんの思い出を作ってきた。『豊臣兄弟!』は半兵衛の最期をどのように描くのか。
参照
※ https://www.nhk.jp/g/blog/2g9re6o8um/
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK






















