上坂樹里、『風、薫る』直美役で見せる“恋の表情” “小川”甲斐翔真との出会いが生んだ感情

上坂樹里、『風、薫る』で見せる恋の表情

 最近のNHK連続テレビ小説『風、薫る』では、直美(上坂樹里)はこれまで以上にいろいろな顔を見せてくれるようになった。

 その変化を象徴するもののひとつが髪型だ。看護婦養成所に入る際に長かった髪を切り、その後は外ハネのボブスタイルで過ごしていた直美だが、母・文(内田慈)との再会と別れを経て帝都医科大学附属病院を辞めた頃から、毛先を内側に巻いた柔らかな髪型へと変わった。もちろん、歯に衣着せぬ物言いも、負けん気の強さも、行動力も相変わらずなのだが、髪型の変化とあわせてそれまでなかなか人には見せなかった感情を、少しずつ素直に表へ出すようになっている。

 もともと直美は、自分の弱さを人に見せることが苦手だった。幼い頃に両親に捨てられ、誰かに頼るのではなく、自分の力で生きていくしかなかった。腹が立てばはっきりと言葉にする一方で、寂しい、悲しい、助けてほしいといった気持ちは簡単には口にしない。というよりも、口にしたくてもできなかったのだろう。それは文が自分を捨てた実の母親だと知ったときもそうだった。

 だが、文との別れを経て派出看護婦会をスタートさせる頃になると、以前の直美なら、自分で決めたことなのだから自分の力でなんとかしなければと、1人で抱え込んでいたかもしれないが、少しずつ誰かに自分の気持ちを預けるようになった気がする。

 そんな最近の直美を語るうえで欠かせないのが、小川(甲斐翔真)の存在だ。帝都医大を辞めてから派出看護婦会の活動が順調ではなかった時期に、小川は自分なら「援軍を呼ぶ」と助言する。その言葉を聞いた直美は、「肩の力が抜けます」と口にした。いつも強気で、人から心配されることさえ嫌がりそうな直美が、小川には自然とそんな本音をこぼしたことに少し驚いたが、この時点で直美が小川に心を許していることが伝わるやり取りだった。

 小川を前にしたときの上坂の表情も印象的だ。仕事の話をしているときはいつものようにきっぱりとしている直美だが、小川と話していると目元が柔らかくなり、笑顔も増える。以前は怒った顔や険しい表情の印象が強かっただけに、誰かと話して楽しそうに笑う直美の姿はかなり新鮮だ。

 一方で、りん(見上愛)を頼りに直美は新潟へ向かい、赤痢が流行するとわかると、りんや黒川(平埜生成)らとともに患者の看護にあたった。東京で派出看護婦会が苦しい状況にあることなど感じさせないほど、目の前の患者に向き合う姿は、これまでと変わらない直美そのものだ。けれど、赤痢が収束したあとに、直美が派出看護が思うようにいかず、りんに一緒に働いてほしいと頼むためにやってきていたことを素直に明かしていたのも直美にとっては大きな変化だ。きっとこれまでだったら1人で抱え込んでいただろう。

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