Netflixが新しい“スターシステム”の場に? 『地獄に堕ちるわよ』『九条の大罪』などの常連組

Netflixの日本コンテンツについて、特にそのキャスティング動向について少し考察しておきたい。2026年上半期が早くも終わろうとしているが、今期最大の反響を得たのは『九条の大罪』と『地獄に堕ちるわよ』である。両シリーズとも同社の国内トップテンで第1位を快走し、『地獄に堕ちるわよ』は市民のソーシャルメディアから大手メディアまで話題を独占し、「昨今のテレビドラマの不振はNetflixのせいだ」と、犯人扱いまでされるありさまだ。
占い師・細木数子の生涯を描いた『地獄に堕ちるわよ』は、主人公を戸田恵梨香が演じたが、その研ぎ澄まされたスリムなスタイルがまったく細木数子に似ていない。そもそも戸田本人がモデルに似せようとしていないこと、彼女の演技目標が別にあることは、誰が観ても明らかである。

毎週の視聴率動向に一喜一憂を強いられるテレビドラマとはまったく異なり、Netflixドラマは題材選びばかりでなく、キャスティング面、ルック面でも、ある程度のリスクを冒すことができる。テレビ局はスポンサーの機嫌を取らなければならず、タレント事務所とのズブズブの関係性を壊さないように努めなければならない。ところがNetflixにはそんなしがらみがない。
『極悪女王』(2024年)の主演にゆりやんレトリィバァを迎え、さらには脇に唐田えりかと剛力彩芽をもってくるという芸当は同社の独壇場である。『極悪女王』という題材自体、現在の地上波では低予算の深夜枠でしかできないだろう。これを上記のような冒険的なキャスティングと潤沢なバジェットで可能にするシステムが出来上がっているのである。

『地獄に堕ちるわよ』の戸田恵梨香、『九条の大罪』の柳楽優弥。どちらもNetflix初登場である。ゆりやんレトリィバァは初登場ではないが、過去作では役名もないような端役しか演じていない。そのほか、『ソウルメイト』(2026年)の磯村勇斗、『ガス人間』(2026年)の小栗旬、『地面師たち』(2024年)の綾野剛、『忍びの家 House of Ninjas』(2024年)の賀来賢人、『First Love 初恋』(2022年)の満島ひかり、そして『今際の国のアリス』(2020年〜2025年)の山﨑賢人――いずれもNetflix初主演にして、今のところ唯一の主演である。
いっぽう脇役に目を転じると、『地獄に堕ちるわよ』では、細木数子の愛人であるヤクザ役に起用された生田斗真の素晴らしい存在感に惹きつけられる。彼は『Demon City 鬼ゴロシ』(2025年)の主演以外にも、『九条の大罪』など数多くのNetflix作品で助演している。生田斗真こそNetflix日本法人の“顔”だという指摘もある。
生田に次いでNetflix常連といえるのが、『地面師たち』、『九条の大罪』の池田エライザ、『幽☆遊☆白書』(2023年)、『グラスハート』(2025年)、『今際の国のアリス』、『九条の大罪』の町田啓太、『全裸監督』(2021年)、『サンクチュアリ -聖域-』(2023年)、『地面師たち』のピエール瀧、『地面師たち』、『九条の大罪』、『This is I』(2026年)の吉村界人など。そのほか斎藤工、仙道敦子、余貴美子、木村多江といった人々が主人公の親役などで重用されている。とにかくこのリストは数が多すぎてキリがない。

主演クラスには冒険的かつ新鮮な人材を登用し、助演クラスには常連を当てる――この方針は決して偶然によるものではないだろう。テレビドラマとは異なり、「この事務所から何人出さなければまずい」などといった慣習の縛りとは関係なしに、助演にはNetflixの現場進行を熟知し、またスタッフからも信頼されてきた人を選ぶ。





















