『べらぼう』北尾重政から雰囲気一変 『ばけばけ』にも登場の橋本淳が重宝される理由

橋本淳が重宝される理由

 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の舞台が第20週から熊本に移った。島根県の松江中学で英語を教えていたヘブン(トミー・バストウ)は、熊本の第五高等中学校の教師として働き始めた。この熊本編で、ヘブンの同僚の英語教師・作山を演じるのが、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で北尾重政役の好演も記憶に新しい橋本淳だ。

 寒がりで冬が苦手なヘブンが、想像を超える熊本の寒さに心が折れそうになりながら、教員室で作山に「ストーブ ツケル シマセンカ」と声をかける。すると作山は「あ~、でしたらご自分で。マッチの場所、ご存知ですよね」と日本語で言った後に、「You know where the matches are, right?」とドライに言い切る。「イエス」とヘブンが答えると、「では、次がありますので」と立ち去り、取り付く島もない。

 気分が滅入りがちなヘブンに、同じく同僚の英語教師・ロバートが見かねて熊本の生活について尋ねると、「熊本には、日本の古き良きものが何もない。寺も、何もかも……シンシナティと変わらない」とヘブンは不満気だ。すると、その会話を聞いていた作山は「それでいいんです。今の時代は文明文化の強化促進。あなた方のような西洋人が我が校に呼ばれたのもそういう理由なんですから、その辺、肝に銘じてください」と、かなり上からの目線で胸を張って断言する。

 「日本の未来は明るい。もっと豊かで西洋諸国と肩を並べる強い国になりますよ」と笑う作山。真逆の思想を持っている人物であることが、第96話の作山の登場シーンにおけるヘブンの暗い表情との対比によってくっきりと浮かび上がった。

 作山とヘブンは一緒に働き始めたばかりだ。真面目でエリート、ドライなタイプで合理主義の作山は、今後、ものの見方が異なり全く意見の合わない同僚・ヘブンとどのような関係を築いていくのだろうか。橋本淳の演技の絶妙なさじ加減が試される、面白い役どころといえるだろう。

岡山天音、染谷将太、尾美としのりらが集結 『べらぼう』“チーム蔦重”が増える喜び

NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の魅力のひとつは、物語が進むごとに主人公・蔦屋重三郎(横浜流星)のもとに仲間が集ま…

 『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の北尾重政は、才能溢れる人気の絵師というだけでなく、クセの強い弟子たちに慕われる包容力があって、その面倒見の良さは主人公の蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)に対しても遺憾なく発揮された。蔦重がプロデューサーとして成功する前、商売を始めたばかりの頃から彼を支え、一緒に作品を生み出してきた同志のような存在でもあった。

 蔦重にとって初出版となる『一目千本』も、身請けされていく瀬川(小芝風花)への餞別として贈った豪華な錦絵本・大型本三冊セットの『青楼美人合姿鏡』も、重政が蔦重の斬新なアイデアを汲み取り、最高の技術をもって仕上げた作品だ。

 ときに無謀ともいえる蔦重の挑戦を受け止め、新しい試みとして惜しみなく技術をアップデートし続け、浮世絵界に旋風を巻き起こした北尾重政。その懐の深さ、江戸っ子らしい粋な雰囲気の纏い方も回を重ねるごとに話題となり、橋本淳のハマり役として強い印象を残した。

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