“映画俳優”大西信満が朝ドラ『ばけばけ』で放つ異彩 寡黙でも際立つ“車夫”永見剣造

放送中の朝ドラ『ばけばけ』(NHK総合)は、物語の舞台を島根の松江から熊本へ。ヒロイン・松野トキ(髙石あかり)は生まれ故郷から離れ、夫であるヘブン(トミー・バストウ)との新生活がはじまった。環境がガラリと変わるのだから、登場人物たちの顔ぶれも一気に変わるはず……と誰もが思うところだが、この予想をサラリと裏切るのが本作。トキの両親たちばかりか、ヘブンの教え子たちも暮らしをともにしている。そう、みんな「熊本編」についてきた。そんな中でもとくに注目を集めているのが、車夫の永見剣造だ。演じているのは大西信満である。
本作は、かの有名な小泉八雲とその妻のセツをモデルにした物語を描いていくもの。『雪女』や『耳なし芳一』など、日本人にとって馴染み深い怪奇譚の数々が、いったいどのようにして生まれたのか。そしていかにして、今日まで語り継がれることとなったのか。この夫婦のドラマをとおして、私たちは知っていくことになるのだ。

そんな本作で大西が演じる剣造は、ヘブン専属の人力車夫である。「不器用ですけん」が口癖で、メインの登場人物たちの中ではもっとも口数の少ないキャラクターだ。とにもかくにもマジメで真っ直ぐな男であり、不器用でも頼り甲斐はある。この「熊本編」にまで彼がついてきたことに関して視聴者から驚きの声が上がったが、よくよく考えてみれば納得である。
ヘブンの“通勤”という、日常生活の根幹をなす部分を支えているのがこの剣造。一口に「車夫」といっても、代替可能な存在ではないのだろう。ヘブンから厚い信頼を寄せられていて、同時にヘブンをよく理解している者でなければならない。そんな者がこの世界にほかにいるだろうか。しかも彼は、松野家の者たちが松江の人々からひどいバッシングを受けていた際、トキに寄り添ってくれた存在でもあるのだ。「熊本編」にもいて当然。むしろ、いてもらわなくては困るくらいだろう。




















