『パン恋』生田斗真×上白石萌歌は『ガリレオ』のような関係 根本ノンジの脚本の妙も

『パン恋』の2人は『ガリレオ』のよう?

 上白石萌歌と生田斗真がダブル主演を務める日本テレビ系の土曜ドラマ『パンダより恋が苦手な私たち』が1月10日にスタートした。ずいぶんと突拍子もないタイトル(かつメインビジュアルもなかなかのインパクト)で、いったいどんな作品なのかと前情報も入れずに観てみれば、瀬那和章の原作があるからか、あるいは今期は月9も手掛ける根本ノンジの脚本の妙か、表現方法も含めてなんとも興味深い着眼点のドラマであった。

 生活情報誌の編集部で働く柴田一葉(上白石萌歌)は、あるコラムを任される。それは恋愛コラムであり、一葉が子どもの頃から憧れていたモデルの灰沢アリア(シシド・カフカ)が執筆を担当するというもの。ところがいざ打ち合わせてみれば、アリアは名前を貸すだけで一葉に丸投げ。こまりあぐねた一葉は“恋愛を研究するスペシャリスト”と聞く大学准教授の椎堂司(生田斗真)の元を訪ねるのだが、彼は恋愛の研究者ではなく動物の求愛行動に関する研究者だったのである。

 結局、自身の恋愛も大きな壁にぶち当たってしまった一葉は、人間の恋愛相談を動物の求愛行動に置き換えて語るコラムにすることをひらめくことになるわけだが、まずここで、このドラマの根幹を成す一葉の“お仕事”の部分がかなり面白い構造になる。SNSで投稿された顔の見えない誰かの恋愛の悩みを、椎堂の監修のもとで動物の求愛行動をレファレンスにしながら人間の恋愛へと置き換え、それをアリアの言葉として表出させていく。もっぱらここに、本来主体となるべき一葉が前面に押し出されることはなく、受け身の位置に徹しざるを得ない。これを積み重ねながら徐々に彼女に主体性が与えられていけば、それだけで“お仕事ドラマ”としての旨みが自然発生するということだ。

 また、動物の求愛行動以外に関心を示さずに、人間の恋愛は“非効率”であると切り捨てる椎堂。このエキセントリックなキャラクター性、なによりも、外部から持ち込まれた研究分野外の相談を自分自身のテリトリーへ置き換えて、持ち込んできた側がそれをもとに解を見出すという構図は、まさしく『ガリレオ』の湯川学と内海薫の関係に類似している。椎堂と一葉のあいだには価値観の対立がやんわりとあり、それでも椎堂は、一葉が語る「人間の求愛行動にしかない意味」に興味を示す。ここもまた、分野は違うが限りなく“『ガリレオ』的”。

 いずれにしてもこの両者の出会いと、そこから波及していく行動には非常に重要なものが伴っていると見える。自分にない考えを見つけ出そうとする探究心――得られた情報をもとに膨らましていく想像力と、そこからより深く知ろうとしていくこと。ペンギンがパートナーを選ぶ基準を人間に置き換える今回の一連をもって、一葉は自分の恋愛においても相手が求める基準を見抜けなかったことを自戒し、ひいては“働くこと”における基準にも考えをめぐらす。この探究的行動は、恋愛に限らずあらゆる部分に応用できるものなのである。

『パンダより恋が苦手な私たち』の画像

パンダより恋が苦手な私たち

恋が苦手とされるパンダなど動物たちは、実は限られたチャンスを活かす「恋愛上級者」だった。動物の求愛行動から、常識に囚われる現代人がシンプルに幸せになるヒントを解き明かす。

■放送情報
『パンダより恋が苦手な私たち』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00~放送
出演:上白石萌歌、生田斗真、シシド・カフカ、仁村紗和、柄本時生、三浦獠太、片岡凜、佐々木美玲、佐々木史帆、髙松アロハ(超特急)、平山祐介、宮澤エマ、小雪、筧美和子
原作:瀬那和章『パンダより恋が苦手な私たち』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
演出:鈴木勇馬、松田健斗、苗代祐史
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:藤森真実、白石香織(AX-ON)
音楽:MAYUKO
主題歌:生田斗真「スーパーロマンス」(Warner Music Japan)
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/pankoi/
公式X(旧Twitter):https://x.com/pankoi_ntv
公式Instagram:https://www.instagram.com/pankoi_ntv/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@pankoi_ntv

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる