仲野太賀、松山ケンイチ、鈴木亮平、生田斗真ら 2026年冬ドラマは“カメレオン俳優”祭り

2026年1月スタートのドラマは、近年まれに見る“演技重視”のシーズンだと言っていい。とりわけ「カメレオン俳優」と言われる俳優が主演を務めるドラマは、過去作とはまったく違う“変貌ぶり”が注目ポイントとなりそうだ。
仲野太賀

まずは、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で“戦国史上最強の補佐役”と呼ばれた豊臣秀長を演じる仲野太賀である。仲野は父に中野英雄を持つ2世俳優だが、「親の七光り」という言葉は当てはまらない。13歳でデビューして以降、数え切れないほどのオーディションを受け、脇役であっても確かな爪痕を残し続けてきた叩き上げの実力派だからだ。
仲野の演技を語るうえで欠かせないのが、「圧倒的な実在感」だ。ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)では、原作キャラとの体格差の違いが懸念されたが、それを跳ね返し、愛すべき“おバカヤンキー”として強烈な存在感を放った。NHK連続テレビ小説『虎に翼』での優三役では、穏やかさと時代に翻弄される悲哀を静かに表現し、「国民的夫」と呼ばれる存在にまで押し上げた。
『豊臣兄弟!』は「兄弟の絆」「戦国サクセスストーリー」がコンセプトとなりそうだが、“中間管理職”というポジションでありつつも、仲野が知性と情の演技で主演としてどう輝くのか。
松山ケンイチ

一方、NHKドラマ10『テミスの不確かな法廷』で主演を務める松山ケンイチは、また別の角度から「カメレオン俳優」という言葉を体現する。本作で特筆すべきなのは、主人公がASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けている裁判官である点だ。松山は『虎に翼』でも裁判官を演じたが、今回は発達障害の特性を持つ人物という異なるアプローチが求められる。内面に渦巻く違和感や葛藤をどこまで繊細に描けるかが最大の見どころとなる。
振り返れば、松山は『デスノート』のLから『デトロイト・メタル・シティ』の根岸崇一まで、極端に異なる人物像を次々と成立させてきた。発達障害者の役と言えば、昨年の『ライオンの隠れ家』(TBS系)で坂東龍汰の怪演が絶賛されたものだったが、本作でも松山の表現力が作品の成否を握りそうだ。
鈴木亮平
TBS日曜劇場『リブート』では、鈴木亮平が善良なパティシエ・早瀬陸と悪徳刑事・儀堂という二役に挑む。“顔を変えて別人になる”という設定は、まさに役ごとに肉体や印象を変えてきた鈴木の俳優人生と重なって見える。
鈴木が高く評価されるのは、作品を面白くするためなら自分のイメージにこだわらない姿勢だ。『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)、『下剋上球児』(TBS系)の正義のリーダー像はハマり役であるが、映画『HK/変態仮面』や『シティーハンター』のように下品なシーンもコミカルに昇華させる力もある。2015年のドラマ『天皇の料理番』(TBS系)では病に冒された役のために20キロ減量し、その直後には映画『俺物語!!』で巨漢の高校生を演じるため30キロ増量するという、常識外れの体重変化をやってのけたこともあった。『リブート』では、あまり見ない“ダークな鈴木”が楽しみでしかない。
生田斗真
ドラマ『パンダより恋が苦手な私たち』(日本テレビ系)に出演する生田斗真も、近年カメレオンぶりが際立つ俳優の一人だ。かつては爽やかなモテ男役の印象が強かったが、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で演じた一橋治済では、そのイメージを完全に裏切る冷酷非道な権力者を怪演。共演の風間俊介をして「とんでもなく恐ろしい」と言わしめたように、毒殺をためらわない治済の狂気は視聴者に強烈な印象を残した。善と悪の振り幅をここまで自然に行き来できるのが、俳優・生田の現在地だ。
志田未来
そして火曜ドラマ『未来のムスコ』(TBS系)で主演を務める志田未来も、今期を語るうえで欠かせない存在だろう。『女王の教室』(日本テレビ系)『14才の母 ~愛するために 生まれてきた~』(日本テレビ系)で天才子役として注目を集めた志田だが、30代に入りシリアスからコメディまでこなす。『ホットスポット』(日本テレビ系)見せた“淡白さ”は、逆にドラマにリアリティを持たせていた。
今回、志田が演じるのは、未来から来た10歳の息子と出会うアラサー女性。重たい母親像だった『14才の母』とは異なる、明るさと不安を併せ持つ等身大の役となるが、その柔軟な演技力で視聴者に“ほっこり”した空気を与えてくれそうだ。
他にも『じゃあ、あんたが作ってみろ』 (TBS系)で俳優としての評価を上げた竹内涼真が『再会~Silent Truth~』(テレビ朝日系)で2クール連続出演。杉咲花主演の『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)、中村倫也主演の『DREAM STAGE』(TBS系)も控えている。
演技派俳優たちが自らの成功パターンに安住せず、あえて未知の領域へ踏み込む――。2026年冬ドラマは、その覚悟と変貌のプロセスそのものを味わうシーズンとなりそうだ。


























