稲垣吾郎が明かす“ミステリアスでいたい理由” 10年ぶりのPARCO劇場で挑む伝統の喜劇

「稲垣吾郎という鎧がどう崩れるかを楽しんでほしい」
――作中ではギャリーが老いへの恐れや人気俳優ならではの孤独感を口にする場面もありますね。
稲垣:鏡を見て「うわ~」とかね。そこも僕に向けて当て書きしたんじゃないかなって思わされたセリフです(笑)。容姿って、やっぱり気にしないなんて言ったら嘘ですよね。そういう仕事ですし、僕はそのへんに関してけっこううるさいほうだとも自分で思いますし。自分だけが気づくこととかってあるじゃないですか。「あれ、こんなところにシワが?」とかね。それを「生きてきた自然のものだ」「ナチュラルでいいじゃん」みたいなことも個人的にはあんまり言いたくない。そこは、ちゃんと抗っていてちょうどいいぐらいなんじゃないかなって。うまく言えないですけど、老いることの恐れっていうのは、言霊じゃないけどあんまり口にはしないようにはしているんです。とはいえ、ロボットじゃあるまいし、全く年を重ねていくことを否定するのもまた違うと思っていて。その年齢でベストな容姿を目指していくっていうのが大切なんじゃないかなと。体力的にも、内面的にもね。孤独感については、僕はあまり感じたことはないですね。たぶん、ノエル・カワードさんのように俳優をしながら脚本も書いて、監督もして……と、ひとりで多くのことを背負っていくような責任感の強い方だと思うこともあるのかもしれない。けれど、僕の感覚では分業制というかチームで取り組んでいるというイメージなので。俳優だから孤独、みたいなことはそこまで感じていないです。
――2025年は映像作品にも舞台にも出演されて大活躍でしたが、どのような違いがありますか?
稲垣:観ている人の心に響かせるとか届けるっていう意味では、ほとんど同じだと思いますが、もちろん違うところもあります。舞台はじっくり時間をかけて稽古して、本番も何度も同じことを重ねてやり続けますし、映像だとある意味で監督さんとかに委ねるしかないみたいなもっとスリリングなドキュメンタリー要素もあったりして。それこそ分業制の範囲が違うという感じですかね。一方で映像と舞台と、両方を行き来しているからこそ見えてくるものもあります。映像の作品を撮りながら「ここにカメラがあるからそこだけに集中する」というのではなく、この空間そのものを俯瞰で見る自分がいますし、逆に舞台をしながらお客さんの視線をカメラのように見立てて「こっちにフォーカスしてるな」「今パンアップしたな」って映像的に舞台を考えられる。俳優という仕事をやらせてもらっている以上、どちらにも力を入れてやっていきたいなと思っています。
――PARCO劇場には特別な思い入れがあるとお聞きしました。10年ぶりに立つことへの思いを改めてお聞かせください。
稲垣:PARCO劇場は何度も通わせていただいた劇場で、特につかこうへいさん作の『広島に原爆を落とす日』という、自分の舞台俳優人生の第一歩となった作品を演じさせてもらった印象が強いですね。初舞台というわけではなかったんですが、まだ20代前半のころで。ものすごいセリフ量だったのを今でも覚えています。それから鈴木聡さんとの『恋と音楽』シリーズでもお世話になって。あれから10年の間に、渋谷の街も大きく変わって、PARCO劇場も新しくなって。当時のことが懐かしく感じられますね。
――観客として観劇をされたことも?
稲垣:ええ、もちろん。よく美輪明宏さんのお芝居をPARCO劇場に観に行ってましたね。昔のPARCO劇場って舞台の下手にひとつ主演の方が使う大きな楽屋があったんですよ。一度だけ、美輪さんが出演されたあとに僕が使う機会があって。そのときの情景を思い浮かべると、美輪さんの香水の残り香も蘇ってきます。あとは、劇場の椅子の背もたれが色褪せてステージからハート型に見えたこととか。長年、お客さんが座ってきた形跡が、そんなふうに刻まれているのを感じていました。そうした思い出が僕と同じようにお客さんひとりひとりの中にもあるんじゃないかなと思うので、いっしょに懐かしみながら、さらに新しい思い出を作っていけたらうれしいです。
――映像作品や舞台をご覧になられている印象がありますが、そうした作品から影響を受けることはありますか?
稲垣:受けてるのかな? ある俳優さんの演技を見て「自分もそういう芝居をしよう」みたいなことはないですね。みなさんと同じく、ひとりの観客として楽しんでいる感じです。でも、人が頑張っているのを見て、自分も頑張ろうという形では刺激を受けますよね。
――今回の作品は、ラブコメディということで、笑いに対する思いについても聞かせてください。
稲垣:笑いというのは、エンターテインメントの基本ですよね。「笑いあり、涙あり」っていうじゃないですか。やっぱり笑わせるとかユーモアっていうのは、どんな作品にも根底にあるものだと思っているんです。僕はお笑い芸人ではないけれど、昔からテレビでコントをしたりラブコメとかをやってきて、本当に幼い頃から学んできたというか、息を吸うように当たり前のこととしてやってきた感覚はあります。そして、ありがたいことに、コミカルな演技を評価していただくことが多いんです。『ハリー・ポッター』(舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』)をやっていても、コミカルなシーンを指して「ああいうところが面白いよね」と言ってくださる方がいて。でも、コメディだから「眉毛を2センチ上げてみよう」とかそんなことは別に考えているわけではない。その役を僕が一生懸命やれば、それが自然にコメディになっていくっていう感じなんですよ。だから、“稲垣吾郎”っていうイメージを普段から鉄壁のように築いているところもあるんです。さっき話したように普段からミステリアスでいたい理由というか、それがエンターテイナーとして笑いを生み出すために必要な部分だと思うから。特にラブコメでは、恋してハチャメチャにグチャグチャになってると面白いじゃないですか。それに男なんてカッコ悪くなればなるほど、面白くなってくるもの。だから、稲垣吾郎という鎧がどう崩れるかを楽しんでほしい。それが僕の中の笑いに対する1つの考え方かもしれないですね。
――その瞬間が今回の舞台では存分に味わえそうで、ますます楽しみです。
稲垣:自分でもすごく僕らしい作品だと感じていますし、きっとみなさんにもたくさん笑っていただけるんじゃないかなと思います。80年以上前のイギリスと現代の日本という違いがあっても、変わらない笑いの部分がすごくあるので。なんだか毎日同じものにはならない予感もあるので、何度も観て楽しんでいただきたいです。
■公演情報
PARCO PRODUCE 2026『プレゼント・ラフター』
出演:稲垣吾郎、倉科カナ、黒谷友香、桑原裕子、望月歩、金子岳憲、中谷優心、白河れい、浜田信也、広岡由里子
作:ノエル・カワード
翻訳:徐賀世子
演出:小山ゆうな
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/presentlaughter/
【東京公演】
公演日程:2026年2月7日(土)~2月28日(土)
2月7日(土)17:00
2月8日(日)13:00
2月9日(月)休演
2月10日(火)13:00
2月11日(水・祝)12:00、17:00
2月12日(木)13:00
2月13日(金)13:00
2月14日(土)12:00、17:00
2月15日(日)13:00
2月16日(月)休演
2月17日(火)18:30
2月18日(水)17:00
2月19日(木)12:00、17:00
2月20日(金)13:00
2月21日(土)12:00、17:00
2月22日(日)13:00
2月23日(月・祝)休演
2月24日(火)13:00
2月25日(水)12:00
2月26日(木)13:00
2月27日(金)12:00
2月28日(土)13:00
会場:PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)
入場料金(全席指定・税込):12,500円/U-30チケット6,000円 ※観劇時30歳以下対象、要身分証明書(コピー・画像不可)、当日指定席券引換、チケットぴあにて一般発売日より先着販売
※未就学児入場不可
一般発売日:2025年12月20日(土)
チケットに関するお問合せ:サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
公演に関するお問合せ:パルコステージ 03-3477-5858 https://stage.parco.jp/
【京都公演】
公演日程:2026年3月4日(水)~3月8日(日)
3月4日(水)18:00
3月5日(木)13:00、18:00
3月6日(金)13:00
3月7日(土)13:00、18:00
3月8日(日)13:00
会場:京都劇場
入場料金(全席指定・税込):12,500円
※未就学児入場不可
一般発売日:2026年2月8日(日)
お問合せ:「プレゼント・ラフター」京都公演事務局 0570-055-099(12:00~17:00 ※土日祝は休業)
【広島公演】
公演日程:2026年3月14日(土)~3月15日(日)
3月14日(土)17:00
3月15日(日)12:00
会場:JMSアステールプラザ 大ホール
入場料金(全席指定・税込): 12,500円/U-30チケット6,000円 ※観劇時30歳以下対象/要身分証明書(コピー・画像不可、原本のみ有効)、当日指定席券引換
※未就学児入場不可
一般発売日:2025年12月20日(土)
お問合せ:キャンディープロモーション 082-249-8334(平日11:00~17:00)
【福岡公演】
公演日程: 2026年3月20日(金・祝)~3月22日(日)
3月20日(金・祝)18:00
3月21日(土)12:00、17:00
3月22日(金・祝)12:00
会場:福岡市民ホール 中ホール
入場料金(全席指定・税込): 12,500円/U-30チケット6,000円 ※観劇時30歳以下対象/要身分証明書(コピー・画像不可)、当日指定席券引換、チケットぴあにて一般発売日より先着販売
※未就学児入場不可
一般発売日:2025年12月20日(土)
お問合せ:BASE CAMP 092-406-7737(平日12:00~17:00)
【仙台公演】
公演日程:2026年3月28日(土)~3月29日(日)
3月28日(土)12:00、17:00
3月29日(日)12:00
会場:電力ホール
入場料金(全席指定・税込):12,500円
※未就学児入場不可
一般発売日:2025年12月20日(土)
お問合せ:仙台放送 事業部 022-268-2174(平日11:00~16:00)
























