『ばけばけ』髙石あかり×トミー・バストウの“ご機嫌さん”にほっこり 怪談で繋がった心

『ばけばけ』トキとヘブンの“ご機嫌さん”

 暗い部屋に、ろうそくが1本。そのろうそくを向かい合うようにして見つめるトキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第58話は、その中で怪談『鳥取の布団』がトキの言葉で語られる場面からスタートした。

 『鳥取の布団』は第11話で鳥取からやってきたトキの最初の婿・銀二郎(寛一郎)からトキに伝えられたもの。それがヘブンに伝えられようとしているところは、古くから人々によって語り継がれてきた“怪談らしさ”が感じられると同時に、トキの大切な人が銀二郎からヘブンへと移り変わっていく暗示のようである。

 ある宿屋にあった布団にまつわる兄弟の悲しい物語を聞いたヘブンは、感じいったように「ハア……」と声を漏らすが、トキが日本語でわかったかと問うと「スベテ……ワカル ナイ」と答えた。その答えを「全て、分からなかった」と理解したトキは、落胆の表情を見せるも気丈に振る舞おうとする。だが、ヘブンは「スベテ……ワカル ナイ」をさらに「ナイ!」と否定。そこで、トキはヘブンが「全て“は”、分からなかった」と伝えたかったこと、そして最終的には「半分くらいは理解できた」ことを知った。

 怪談をきっかけに、2人のコミュニケーションと心が深まった瞬間である。トキとヘブンは、これまで何度も言っていたがうまく伝わっていなかった「ワンモア タイム」が「モウイッペン」であることを互いに確認し、2度目の怪談『鳥取の布団』へ。

 怪談が好きだったけれど周りからは「昔のもの」と言われ、それを好きだというと「気味が悪い」と一線を引かれていたトキ。日本に来てからは“異人さん”と呼ばれて疎外感と戦い、今は、自身の壮絶な過去を明かしたことで人を傷つけた過去を振り返り、人との関わり方が少し分からなくなっているヘブン。負の感情を抱えたもの同士が怪談を通して、その間にあるろうそくのほのかな光のようにつながっていた。

 トキは自分の好きな怪談をヘブンが興味深そうに聞いてくれるだけでなく、「スキデス」と伝えてくれたことが嬉しく、ヘブンは『鳥取の布団』を単なる“悲しい話”ではなく、壮絶な最期だったとしても「アニ オトウト…… ズット イッショ…… ヨカッタ」と新しい見方ができるくらいには理解し、なんだか嬉しそうな表情をしていた。

 ヘブンとある意味、“特別な時間”を過ごしたトキはウキウキが止まらない。ふとした時に笑みが溢れてしまうし、自宅へ帰る足取りが軽すぎて、ヘブンから教わったスキップまでもが飛び出してしまう。

 一晩明けても、あろうことか布団を見つめて何かを思い出して楽しそうにしているトキ。そんな彼女を見て、ヘブンと何かあったのか、聞きたいような聞きたくないような家族の気持ちが交差したお決まりの“松野家コント”も好調だ。

 明るい気持ちのまま、再び女中としてヘブンの家を訪れたトキ。するとヘブンがすでに起きていて玄関先まで出迎えてくれた。初めての訪問でもないのに、なんだかワクワクしつつソワソワしている2人。トキがその日の道中で挨拶したサワ(円井わん)の言葉を借りれば2人ともとても「ご機嫌さん」である。

 怪談を通して、トキとヘブンの関係は新たなステージへと進んだようだ。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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