『あんぱん』嵩は赤いバッグをのぶに渡せる日が来るのか? 東海林&琴子のそれぞれのエール

のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の関係は、まるで寄せては返す波のようだ。足が速いのぶに嵩はいつも一歩追いつけず、近づいたり離れたりを繰り返してきた。そんな2人は何の因果か、同じ職場で働くことに。ついに結ばれるかと思いきや、再び2人の距離が離れようとしている。NHK連続テレビ小説『あんぱん』第81話では、嵩がのぶへの告白を決意。しかし、運命の神様はそう簡単に嵩の恋を成就させてはくれなさそうだ。
「面白がって生きえ」という釜次(吉田鋼太郎)の遺言を胸に、東京で代議士・鉄子(戸田恵子)の仕事を手伝うことを決めたのぶ。高知新報を離れる日、東海林(津田健次郎)はのぶに対して辛辣な言葉を浴びせる。だが、それはこれからのぶが嫌というほど味わうであろう世間の厳しさを教えるためだった。

これまでの道のりは決して平坦なものではなかったが、当時の状況を考えるとのぶはまだ恵まれているほうかもしれない。戦争で夫を亡くし、働かなくてはならないのに仕事が見つからない女性も大勢いる中、のぶはたまたま高知新報に拾われた。新聞記者の仕事は過酷だが、互いに鼓舞し合える仲間がいて、自分の活躍を喜んでくれる家族もいる。
そんなホームグラウンドを出て、見知らぬ土地へ羽ばたいていくのぶ。これからは都会で修羅場をくぐってきた政治家とも渡り歩いていかなくてはならない。ぽっと出の若者が“ガード下の女王”に雇われたというだけでも、風当たりは強そうだ。戦災孤児や浮浪児の問題に取り組みたいというが、差し伸べた手を取ってもらえるとは限らない。誰かに話を聞いてほしくてもこれからは近くに家族や友人がいるわけでもなく、自分を自分で奮い立たせる必要がある。

そういう険しい道のりを進むのぶに「お前の志をへし折ろうとするやつもいる。そんなやつに絶対負けるなよ」と力強く語りかけた東海林。厳しくも温かい姿勢でのぶを育ててきた東海林らしいエールだ。そんな東海林とは対照的に、気の利いた言葉は何も言えず、嵩は「俺もいつかは東京に行きたい」と伝えるので精一杯だった。のぶは「ほいたら先に行って待ちゆうきね」と告げ、高知新報を去っていった。





















