『タコピーの原罪』原作勢が感動した“アニオリ演出” 「んうえいぬkf」などを深掘り解説

2025年7月期アニメにおいて、SNSを中心に“話題作”として囁かれているのが、アニメ『タコピーの原罪』だ。
原作は連載当初から、強烈なテーマ性と鮮烈なビジュアルで注目を集め、考察好きの読者の間で毎週のように話題となっていた。アニメ化にあたっては、その“重さ”をどう描くのかに注目が集まっていたが、いざふたを開けてみると、驚くほど原作に忠実かつ丁寧な仕上がりだった。
近年では原作付きアニメが多数を占める一方で、いわゆる“アニオリ”演出には、視聴者から厳しい視線が向けられることも少なくない。だからこそ、ストーリーを大きく改変せず、演出や構成の工夫によって“アニメならでは”の魅力を引き出す作品は、高く評価されている。『タコピーの原罪』も、まさにその系譜に連なる一本だ。ここからは、本作の第1話、第2話で差し込まれたアニメオリジナルの表現や演出の数々を振り返っていきたい。
まず印象的だったのは、第1話でタコピーが地球にやってきて、しずかと出会い、自己紹介をするシーンだ。
この場面でタコピーが名乗る瞬間、発せられるのは謎めいた言葉。原作では「んうえいぬkf」という不可解な名前を口にし、考察の火種として注目を集めた。一方、アニメ本編ではこの名前が文字では明言されていない。
しかし、その代わりに工夫されたのがオープニングの演出だ。オープニング映像の中で、囚人服姿のタコピーが掲げるマグショットボードには、しっかりと「んうえいぬkf」の文字が。さらに字幕をオンにすると、タコピーが同じく「んうえいぬkf」と名乗っていることが確認できる。連載当時、多くの考察が飛び交ったこの“名前”は、アニメから作品に触れた視聴者にもぜひ注目してほしいポイントだ。
また、しずかと出会った後、タコピーが彼女をハッピー道具で喜ばせようと日々奮闘するくだりでは、原作では簡潔だった日常描写にささやかなアニオリが加えられている。たとえば、単行本のおまけに登場していた「正論くん」が登場する場面や、タコピーが揚げパンをかじる描写などが追加されており、原作ファンにとっては思わずクスリと笑ってしまうような小ネタがちりばめられている。
そうした多層的な演出のなかでも特に素晴らしかったのが、夜にチャッピーを連れたしずかが「行けないよ。どこにも。ハッピー星にも、パパのところにも」と呟く場面だ。このとき、一輪の白いたんぽぽの花がカットインされる。白いたんぽぽの花言葉は「私を探して」「私を見つめて」。母親にも父親にも、自分の存在を認めてもらえない。そんな孤独の中で、誰かに“見つけてほしい”というしずかの切実な思いが、このたんぽぽの描写に静かに重ねられているように感じられる。





















