夏に観たい、“ホラーより怖い”作品 『タコピーの原罪』『MOTHER マザー』など“毒親もの”4選

毒親といえば、子どもに対する過剰な支配欲をもち、さまざまな苦痛や悪影響をもたらす存在。近年、映画やドラマではそんな家族関係のトラブルを扱った作品が次々と生み出されている。
今回はそんな“毒親もの”ジャンルから、観る者に大きな恐怖を与える作品をいくつか紹介したい。
止まらない暴力の連鎖を描く『タコピーの原罪』
2025年夏アニメには、まさに毒親テーマの金字塔というべき作品がラインナップされている。6月28日から配信が始まった『タコピーの原罪』だ。
同作は、タイザン5が2021年から2022年にかけて『少年ジャンプ+』(集英社)で連載していた同名マンガが原作。地球にやってきたハッピー星人のタコピーが、苛烈ないじめを受けている主人公・久世しずかと出会い、その笑顔を取り戻そうとするストーリーだ。
作中の登場人物はいずれも家庭に大きな闇を抱えているのだが、そのなかでもいじめっ子・雲母坂まりなの親子関係は荒みきっている。父親と母親のあいだで激しい喧嘩が絶えず、心を病んだ母親はまりなに強く依存し、その生活を束縛しているようだ。日常的に暴力を振るわれているような描写もある。そしてまりなは母親から受けた暴力を反復するように、しずかに対して執拗な嫌がらせを行うのだった。
同級生の東直樹も含めた3人の主要人物が、いかにして家庭の呪縛から解き放たれるのか……。かわいらしい絵柄とは裏腹に、とてつもなく重い主題に真正面から向き合っているのが同作の見どころだ。
母への無条件の愛が招いた結果は? 『MOTHER マザー』

同作は2020年に公開された日本映画。大森立嗣が監督、長澤まさみが主演を務め、埼玉県川口市で実際に起きた事件を取材したルポルタージュ本『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』(ポプラ社)を原案としている。
作中で描かれるのは、自由奔放な生き方を送るシングルマザーの秋子と、その息子・周平との奇妙な関係性だ。まずは冒頭から、ヒザを擦りむいた周平の傷口を秋子が舌でぺろりとなめ上げるという異様なシーンで幕を開ける。
秋子は親族にお金を無心しながら遊び歩く生活を送っており、行く先々で出会った男性と関係をもつ。そして周平は学校に通うこともなく、そんな母親の無軌道な生活に付き添っていた。
5年が経ち、成長して働き始めた周平だったが、秋子から職場で窃盗を行うよう命じられる。さらには祖父母を殺害し、お金を奪うように言いつけられると、それを拒否できずに実行に移してしまうのだった。
何より恐ろしいのは、周平がどんな目に遭わされても、秋子への愛情を抱き続けること。“母と子の絆”をもっとも最悪の形で表現した映画と言えるだろう。




















