『あんぱん』ついに史実と重なる展開に のぶと嵩、メイコと健太郎の恋にも変化の予感

『あんぱん』ついに史実と重なる展開に

 敗戦後の混乱の中、人々は少しずつ希望を取り戻そうとしていた。のぶ(今田美桜)は高知新報に入社し、新聞記者、さらには雑誌編集者としての道を歩み始める。そんな中、父・清(二宮和也)が新聞記者だったことから、高知新報の採用試験を受けにきた嵩(北村匠海)と再会。NHK連続テレビ小説『あんぱん』第71話では、新たな夢を見つけた嵩のために奔走する。

 「たっすいが」の嵩は試験会場で一人だけド緊張。それは戦地に駆り出されるまで製薬会社に勤めていたことが不思議なほどで、琴子(鳴海唯)から嵩の様子を聞かされたのぶも気が気でない。どうにか筆記試験を終えるが、その後の面接も散々だった。

 自己アピールの場なのに、嵩は自分のマイナスポイントばかり挙げ連ねる。唯一準備してきたであろう「つきたての餅のような粘り強い性格」という長所も東海林(津田健次郎)ら面接官たちには全く刺さっていない様子。さらに関心を持った記事について問われた嵩は素直に「漫画」と答え、面接官から「受ける会社を間違えたようだね」と言われてしまう。

 誰が見ても不合格確実で、落ち込む嵩を誘って屋台へ。そこで、嵩はのぶに最近できた夢を語る。「米英の侵略から大陸の良民を守るため」、ひいては「東洋平和のため」と信じ込まされ、戦争へと突き進んだ人々。しかし、嵩は中国に渡った先で自分が正義だと思っていることが相手にとっては悪になり得ることを嫌というほど知った。

 逆転しない正義とは何なのか。そもそも逆転しない正義なんて存在するのか。考えれば考えるほど、どつぼにハマっていくなか、嵩が出会ったのは米軍から集めたガラクタに混ざっていた希望ーー漫画だった。

 文字は英語で何を書いているかわからなくても、挿絵や漫画を観ているだけで自然と笑顔になっていた嵩。改めて言葉がなくても観る人の感情を動かす絵の素晴らしさを実感するとともに、日本はアメリカに戦争だけではなく、娯楽でも負けたと思わされ、悔しさが湧いてきた。

 だからこそ、「僕はいつか必ず、あれよりもっと……世界一、面白いものを作りたい」と嵩はのぶに語る。相変わらずの「たっすいが」かもしれないが、志は高く持っていた。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる