『LAZARUS ラザロ』唯一無二の“アニメ音楽” 渡辺信一郎ら劇伴へのこだわりを徹底総括

Bonobo
Bonoboもまた、ジャズからクラブ、ワールドミュージックに至るまで多様な音を操るエレクトロニカの名手だ。『ラザロ』では前半数話の冒頭モノローグ部分のBGMをはじめ、チルでアンビエントな、動きの少ないシーンにも奥行きを与える音楽をフルアルバム(15曲:44分)で提供している。
『ラザロ』唯一のボーカル曲「Dark Will Fall」制作の裏側を明かしたインタビュー動画では、渡辺監督から20世紀初頭のブルーズ歌手ロバート・ジョンソンの「Me and the Devil Blues」をレファレンスとして挙げられたといい、「(悪魔との取引めいた)選択の責任を引き受けること」というテーマで書き上げたと語っている。
Bonoboがトリップホップ(※2)をバックグラウンドとしていると聞くと『サムライチャンプルー』を思い浮かべるかもしれないが、実際にはむしろ『カウボーイビバップ』などについて思いを巡らせることで、初期のようなジャジーな作風に立ち返ることができたという。カットアップの方法などに着目しつつ、初期作品と聴き比べると面白い発見があるかもしれない。
なお、リミックスアルバムの『Black Sands Remixed』では、「Eyesdown」のリミックスをFloating Pointsが担当していることも補足しておく。
その他も

ED曲はThe Boo Radleysが1993年にリリースした「Lazarus」。渡辺監督はこの曲がインスピレーションを与えてくれたとインタビューで語っているが、本楽曲が収録されているアルバム名を見てみたい。『Giant Steps』──そう、これはコルトレーンの同名のアルバムを元ネタとしているのだ。そうした関わりを見つけていくと、彼の相棒ファラオと合作したのがFloating Points、Floating Pointsがリミックスを担当したのがBonobo、そしてコルトレーンの曾姪孫がロータス、その主催レーベルからデビューしたのがカマシ、またロータスが2019年にリリースした「More」のMVを担当したのが渡辺監督……と大きな輪を描き、ジャンルや時代を越えた数々の音楽が『ラザロ』を接点に結びついている模様が見えてくるのも面白い。
このようにアニメを観る際に背景で流れる音楽にも注目してみると、新たな作品の魅力に気がつくことができるかもしれない。『ラザロ』は次回、最終回を迎える。魅力的な劇伴を奏で続けた本作は、どのような音楽でフィナーレを飾るのだろう。
参考
※1. DMYのインタビュー記事を参照されたい。
※2. ヒップホップとエレクトロニカを融合した、アンビエントやサイケデリックなどのスタイルで特徴づけられる音楽ジャンル。
■放送情報
『LAZARUS ラザロ』
テレ東系にて、毎週日曜23:45〜放送
キャスト:宮野真守(アクセル役)、古川慎(ダグ役)、内田真礼(クリスティン役)、内田雄馬(リーランド役)、石見舞菜香(エレイナ役)、林原めぐみ(ハーシュ役)、大塚明夫(アベル役)、山寺宏一(スキナー役)
原作・監督:渡辺信一郎
脚本:渡辺信一郎、佐藤大、小沢高広(うめ)、近藤司
アクション監修:チャド・スタエルスキ(87Eleven Action Design)
キャラクターデザイン:林明美
コンセプトデザイン:ブリュネ・スタニスラス
美術監督:杉浦美穂
色彩設計:田辺香奈
画面設計:坂本拓馬
撮影監督:佐藤光洋
音楽:Kamasi Washington、Bonobo、Floating Points
オープニングテーマ:「Vortex」Kamasi Washington
エンディングテーマ:「Lazarus」The Boo Radleys
音響効果:Lauren Stephens(Formosa Group)
音響制作:dugou
アニメーションプロデューサー:松永理人
制作:MAPPA
企画プロデュース:SOLA ENTERTAINMENT
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公式サイト:https://lazarus.aniplex.co.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/lazarus_jp






















