『続・続・最後から二番目の恋』三浦友和はなぜいつまでも“いい男”であり続けられるのか

三浦友和はなぜいつまでも“いい男”なのか

 近年では、ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』(2023年)での演技が印象深い。役所広司演じる平山となんとなくいい感じになっている小料理屋のママ(石川さゆり)の元夫という役で、ある秘密を抱えている男でもあった。平山は、三浦演じる友山になんとなく劣等感を持っていることが暗示される。友山はどう見ても「いい男」だからだ。社会的には成功しているように見え、物腰も洗練されている。同じ女をめぐるには、平山はかなり分が悪そうだった。それなのに、友山の感じの良さに、平山は抗い難く友情のようなものを感じていく。二人が、まるで子どものように、夜の影踏みをするシーンは、切なくも暖かい「おじさん」たちへの讃歌になっていたように思う。

 そして、『続・続・最後から二番目の恋』でも、成瀬はいつの間にか和平と仲良くなっている。設定としても、二人とも鎌倉に育ち、同じ学校の先輩・後輩ということになっているのだが、前述した脚本家・岡田が「和平さんが初めて自分より年上の先輩とか兄貴みたいな人ができたのは、すごく嬉しかったでしょうね。もう誰かにおごってもらえることのなくなる世代だから」というように、やっぱり三浦は男にとっても「いい男」であるらしい。三浦には、学生時代からスポーツ万能、勉強もできて、かつハンサム、というモテ要素をすべて合わせ持った「憧れの先輩」の雰囲気があるように感じる。男女問わず、思わず慕ってしまう、そんなイメージだ。そして、73歳までその雰囲気をキープしているのだから驚異的だ。

 5月には、カズオ・イシグロ原作の映画『遠い山なみの光』でカンヌ映画祭のレッドカーペットを歩いた三浦。「仕事は体が動くうちは続けたいと思いますよ。好きな仕事だし、限界が来るまでできる仕事ですから」と語っており、ぜひこれからもまだまだ素敵な姿を見せていただきたい(※2)。

『続・続・最後から二番目の恋』が描く“老いへの賛歌” 随所にフレンチのような隠し味が効く

朝食のシーン、悲喜こもごもな日中のシーン、そしてその日を振り返る居酒屋のシーン。中盤に差し掛かって変化球も混ぜてきたが、『続・続…

 第10話では、千明の気持ちを察して、和平を呼び出した後、「まだ負けを認めたわけじゃない」と言いながら自転車で去っていった成瀬。千明は成瀬の恋心にどう応えるのか、そしてこれをきっかけに和平との関係に進展があるのか、最終回の行方が気になる。

参考
※1. https://gendai.media/articles/-/153381?imp=0
※2. https://www.dailyshincho.jp/article/2023/03131101/?all=1&page=3

『続・続・最後から二番目の恋』の画像

続・続・最後から二番目の恋

鎌倉を舞台に、テレビ局プロデューサーの主人公と、市役所で働く公務員の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年1月に第1期の連続ドラマ、同年11月にスペシャル版、2014年に第2期が放送され、本作はその続編となる。全シリーズ、岡田惠和が脚本を担当している。

■放送情報
『続・続・最後から二番目の恋』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子、久保田磨希、松尾諭、佐津川愛美、白本彩奈、広山詞葉、美保純、柴田理恵、浅野和之、渡辺真起子、森口博子、石田ひかり、三浦友和ほか
脚本:岡田惠和
プロデュース:若松央樹(フジテレビ)、浅野澄美、郷田悠(FCC)
演出:楢木野礼、高橋由妃、西岡和宏(フジテレビ)
主題歌:浜崎あゆみ「mimosa」(avex trax)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/nibanmeno_koi/
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