『最後から二番目の恋』シリーズの“真髄”はカメラワーク ワンシーン・長回しの表現を読む

2012年の『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)、2014年の『続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)に続いてこの春放送されている『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。吉野千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)を中心に展開される“ロマンチック&ホームコメディ”の本作、役柄はほぼ実年齢で設定され、オリジナルキャストが再結集し、前作から11年後の日々が展開されている。
この作品の一番の魅力は“何か起きそうで何も起きないところ”である。本当に何も起きない。前作から11年経っているのに、千明と和平の関係に何ら進展はみられない。それなのにまるで彼らの隣人であるかのように、一緒になって一喜一憂してしまう。それはきっとキャラクター全員が現実味をもってていねいに描かれているからだろう。
第2話でテレビ局のスタッフの1人が「自分の人生はつまらないから」と言った時に、「つまんないことが面白いんだよ、愛おしいんだよ。それが私の好きなドラマなんだよ。そういうドラマを作りたいんだよ」と千明が言う場面があった。このセリフに脚本の岡田惠和がこのドラマに託した思いが凝縮されているのではないだろうか。
小泉今日子の“働く女性としての矜持” 『続・続・最後から二番目の恋』が切り込む労働問題
『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が盛り上がっている。なにしろ、シリーズ3作目だ。すでに確かな固定ファンを獲得してい…また毎話のお楽しみとして、朝のカフェ・ナガクラで繰り広げられる千明と和平の舌戦がある。今作も第1話からいい感じに瑣末なことにつっかかり合い、「そう、これこれ!」と堪能させてもらったが、これがおもしろいのは掛け合いの妙だけではない。ワンシーン・ワンカットで撮っているからこその緊迫感があるからだ。
カフェ・ナガクラは実際に鎌倉にある古民家カフェをモデルに作られている。カフェスペースに加え、キッチン、ウッドデッキ、庭、エントランスまで含めたかなり大掛かりなセット。そのメインテーブルに和平、真平(坂口憲二)、万理子(内田有紀)、えりな(白本彩菜)が揃ったあたりで、まず千明が、遅れて典子(飯島直子)が入ってくる。そして千明と和平の丁々発止の言い合いが始まり……というのがお決まりのパターンだが、これがおよそ8分程度、ワンシーンの撮影となる。カメラは複数台あり、話者をとらえたカットが入ってくるものの、演技自体はそのシーンの終わりまでノンストップ、カメラは一度も止まることがない。もし誰かがNGを出したらもう一回最初から。長倉家のシーンは登場人物が多いため、撮り直しのリスクは非常に高い。全員の動きとセリフを頭に入れておく必要があり、お互いの間合いが全て。長回しによる緊張感と場の立ち上がり方は、まさに舞台に通じる。演者の力量が問われるとも言えるだろう。
白本彩奈、『最後から二番目の恋』と歩んできた13年間 えりなは「道しるべのような存在」
フジテレビ系月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』が好評放送中だ。2012年に始まった『最後から二番目の恋』シリーズで、中井貴…実際、中井貴一は4月14日放送の『めざましテレビ』(フジテレビ系)の取材において、「ワンシーンワンカットで撮るので、結構なプレッシャーと覚悟で臨まないといけないっていう、自分に対する覚悟みたいなものがすごく必要だった」と語っている。























