草彅剛が更新し続ける“俳優像” 『いいひと。』で芽生え、『終幕のロンド』で迎える境地

さらに、俳優としての大きな転機となったのが高倉健との出会いだったと佐藤氏は続ける。
「やっぱり、高倉健さんとの出会いは草彅さんにとって大きかったと思います。草彅さんの芸能界最大のピンチを迎えたタイミングで、それまで交流がなかったにもかかわらず手を差しのべたという高倉健さん。草彅さんは、高倉健さんから『生き方が大事』だと教えをもらったといいます。その後、高倉健さんの遺作となった映画『あなたへ』(2012年)でも共演を果たし、直接その背中を見て学ぶ機会も得ました。そんなご縁もあって、健さんの“言葉では語らず、佇まいで見せる”というスタイルは、今の草彅さんにもすごく通じている気がします」
また、その“高倉健イズム”は、Netflix映画『新幹線大爆破』(2025年)でも如実に感じられたという。(※3)
「1975年公開の『新幹線大爆破』で高倉健さんが演じていらっしゃったのは爆弾を仕掛ける側の犯人役。高度経済成長に振り落とされた町工場の社長を口数少ないながらも観客が心を寄せずにはいられない演技を披露していらっしゃいました。対して、草彅さんがリブート版で演じたのは爆弾を仕掛けられた側の車掌という役どころ。口から出る言葉は車掌としてやるべき仕事のものであり、その本音は台詞にはならない眼差しや体の動きで語られていました。語らずとも感じさせる。そんな高倉健イズムが確かに受け継がれていると思わずにはいられない作品でした」
そんな俳優としての確かな歩みを進めるなかでの、今回の『終幕のロンド』。草彅が“死”と向き合う役柄に新たな挑戦を感じたと佐藤氏は語る。
「“遺品整理人”という仕事には、亡くなった方の人生を丁寧にたどりながら、残された人々の想いとも向き合う繊細さが求められます。表現として派手さはないかもしれませんが、草彅さんのように“静かな熱”を持つ俳優だからこそ演じきれる役だと思います。そういう意味でも、このキャスティングには納得感がありますし、非常に楽しみです」
また、作品が完全オリジナルであること、そして草彅の俳優としての魅力を知り尽くした制作陣が再集結していることにも、大きな意味があると佐藤氏は指摘。さらに、物語の軸となる“終活”というテーマにも注目したいという。
「オリジナル作品ということでどんな内容になるのかワクワクしますね。スタッフ一覧を拝見したところ、NHK土曜ドラマ『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』を手がけた高橋美幸さんが脚本を書かれるということなので、重厚な社会派ドラマに仕上がるのではないかと期待しています。人生100年と言われる現代において、折り返し地点と言われる50代に草彅さんも足を踏み入れました。死と向き合うことは、その日を迎えるまでどう生きるかを考えること。俳優・草彅剛が人生についてじっくりと考えさせてくれる時間を届けてくれるのだと思うと、10月が今から待ち遠しいです」
30年前に俳優としての転機を迎えたカンテレドラマに、草彅剛がふたたび臨む。積み重ねてきた経験を踏まえた今回の主演が、どのような新たな表現につながるのか。『終幕のロンド』は、これまでの歩みと今をつなぐ一作になりそうだ。
参照
※1. https://times.abema.tv/articles/-/10119101?page=1
※2. https://www.daily.co.jp/gossip/2024/05/19/0017672565.shtml
※3. https://realsound.jp/2025/04/post-2004989.html
■放送情報
『終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-』
カンテレ・フジテレビ系にて、10月スタート 毎週月曜22:00~放送
出演:草彅剛ほか
脚本:高橋美幸
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸、三方祐人、阿部優香子
音楽:菅野祐悟
制作協力:ジニアス
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/shumaku-rondo/
公式X(旧Twitter):@shumaku_rondo
公式Instagram:@shumaku_rondo






















