『続・続・最後から二番目の恋』はなぜ愛おしいのか 人生を“楽”にするヒントの数々

たとえば、人間関係を面倒くさがらない。和平たち長倉家は、コロナ禍で行き来ができなくても、定期的にオンラインミーティングを開いて結びつきを確かめていた。血のつながった家族だって、長く離れていれば他人になる。早く両親を失った長倉家は、かなり強い意志をもって家族間の関係を保ち続けている。
和平は隣人の千明を大切にして呼び出しベルをつけてやるし、千明と和平は典子からSOSが入れば酒を飲んでいる最中でも駆けつける。真平は良い報告があれば、みんなを集めてもてなすし、和平だって伝えたいことがあったらたこ焼きパーティーを開いて報告する。誰もが相手を軽んじることなく、ないがしろにもしていない。

または、自分から心を動かすことを見つけにいく。典子は雑誌のモデルに挑戦し、万理子は新しい企画の執筆を始めてみる。千明に好意を抱いた成瀬は和平にヤキモチを焼き、律子は千明にヤキモチを焼き、同時に和平も千明もヤキモチを焼く。お互いに節度を持った行動であることは前提の上なら、多少のヤキモチも心の健康にいいものだ。
とはいえ、大人たちの誰もが長倉家のような家族にはなれないし、成瀬や律子のようにほのかな新しい恋に心ときめかせることがあるわけでもない。老いを迎える人が、寂しさや切なさに負けてしまわないためには、「家族が大切」とか「コミュニティが大切」とか「恋が大切」とか、そういうことではないのではないか。第1話の千明のモノローグはこう続く。
「でも、こうも思うのだ。老後なのかセカンドライフなのかわからないけど、それを一緒に笑って、ネタにして、ともに生きる人がいれば、それならば、なんとか乗り切れるんじゃないかなと。家族でも、夫婦でも、友人でも、隣人でも。何でもいいけど、誰かいてくれれば。気の合うヤツが、隣に」

もちろん、和平にとっては千明であり、千明にとっては和平である。第7話で和平は千明のことを「一番大切な人であることは間違いない」と言いつつ「結論を出したくない」と言っている。千明は和平について、「現実にしちゃうと、楽しくなくなっちゃう」と表現していた。つまり、「恋人」とか「夫婦」などのカテゴライズにこだわらない相手ということだ。
たった一人でいいのだろう。「嫌なジジイ」「嫌なババア」と言い合えたり、「同世代だなぁ、もう本当に」と笑い合えたりして、すぐにまた会える、会いたくなるような「気の合うヤツ」が近くにいれば、人生はかなり楽になる。「いくつになっても、未来に恋していたい」と思える人生を過ごせるようになる。ドラマがどんなエンディングを迎えるのか楽しみだ。
参照
※ https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/137.html
鎌倉を舞台に、テレビ局プロデューサーの主人公と、市役所で働く公務員の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年1月に第1期の連続ドラマ、同年11月にスペシャル版、2014年に第2期が放送され、本作はその続編となる。
■放送情報
『続・続・最後から二番目の恋』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子、久保田磨希、松尾諭、佐津川愛美、白本彩奈、広山詞葉、美保純、柴田理恵、浅野和之、渡辺真起子、森口博子、石田ひかり、三浦友和ほか
脚本:岡田惠和
プロデュース:若松央樹(フジテレビ)、浅野澄美、郷田悠(FCC)
演出:楢木野礼、高橋由妃、西岡和宏(フジテレビ)
主題歌:浜崎あゆみ「mimosa」(avex trax)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ
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