『イグナイト』正義と情で揺れる間宮祥太朗たち 医療ミスに潜む真相と“決戦”への布石

『イグナイト』対立する間宮祥太朗と及川光博

 しかもそこに、桐石という“仲間”が狭間に立ち、家族を想うゆえに葛藤する様子が見える点や、宇崎が調査の過程で潜入した学会で偶然出会った調子の良い“おじさん”(伊原剛志)が、実は別の大きな病院の院長の船木だと後になってわかることから糸口が見出されるという好都合な展開が訪れる点。そして、裁判が始まる前に裁判所の執行官によって証拠保全が行われるという、医療裁判特有の事象もしっかりと織り交ぜられ、あくまでもより大きな戦いを前にした軽いジャブとしてスマートにまとめられていく。

 そのなかでも、裁判のシーンで依頼人の住が発する「父はなぜ死ななければならなかったのか」という台詞は、この手のストーリーによくある台詞のようでいて、非常に大きな意味を持つものと見える。第1話で描かれた工場での転落事故、中盤の音部(髙嶋政伸)をめぐる一連で描かれたパワハラによる娘の自殺と同様、愛する家族の死を疑問の残るかたちのまま受け止めざるを得なくなる依頼人の姿は、バス事故で家族が犠牲になった宇崎と轟と重なるものがある(現に、次回予告で娘の死に直面した轟が「佳奈は何で死ななきゃいけなかったんだ」と悲痛な表情を浮かべるシーンが映っていた)。

 宇崎たちはいままさに、その事故の真相へと近付こうとしている。それを踏まえれば、今回の案件はラスボスにたどり着くための外堀埋めとしてだけでなく、宇崎たちが自身の境遇と重ね決戦への機運を高めるきっかけになり、かつ彼らの心情に寄り添う“備え”のようなものとしても機能していると捉えることができよう。

『イグナイト -法の無法者-』の画像

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』

BABEL LABELがTBSと初タッグを組むダークリーガル・エンターテインメントドラマ。“争いの火種”があるところへと潜り込み、人々に訴訟を焚きつけ、あらゆる手段を使って原告を勝訴へと導く「ピース法律事務所」の弁護士たちの姿を描く。

■放送情報
金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:間宮祥太朗、上白石萌歌、三山凌輝、りょう、及川光博、仲村トオル
企画・プロデュース・脚本:畑中翔太
脚本:山田能龍、山口健人
法律監修:福島健史
音楽:森優太
主題歌:B'z「恐るるなかれ灰は灰に」(VERMILLION RECORDS)
プロデューサー:山田久人、瀬崎秀人、駒奈穂子
編成:松本友香、杉田彩佳
監督:原廣利、山口健人、吉田亮
製作:BABEL LABEL、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ignite_tbs/
公式X(旧Twitter)@ignite_tbs
公式Instagram:ignite_tbs
公式TikTok:@ignite_tbs

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