『世にも奇妙な物語』はなぜ語り継がれるのか 脳裏に刻まれる“トラウマ演出”の妙

1990年4月にスタートした『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)が2025年に35周年を迎え、5月31日に『世にも奇妙な物語35周年SP~伝説の名作 一夜限りの復活編~』が放送となる。
『世にも奇妙な物語』は、ストーリーテラー・タモリと豪華キャストが、視聴者を“奇妙な世界”へと誘う短編オムニバス形式のドラマ。今回のスペシャルではファンの間でも人気の高い過去作から、タモリ演じるストーリーテラーが選んだ5本のレジェンドエピソードがオンエアされる。リアルタイム配信・見逃し配信ともに一切なく、つまりはテレビ放送でしか観ることができない。

今回、放送されるのは、木村拓哉主演の『BLACK ROOM』(2001年)、大杉漣主演の『夜汽車の男』(2002年)、織田裕二主演の『ロッカー』(1990年)、妻夫木聡主演の『美女缶』(2005年)、斉藤由貴主演の『恋の記憶、止まらないで』(2019年)の5本。放送が始まった1990年から2019年まで、平成から令和へとつながる年代・ジャンルを網羅した、バランスの取れたラインナップと言えるだろう。
中でも、長らく権利の都合により再放送が叶わなかったという『ロッカー』は、ファンの間でも“トラウマエピソード”と語られている名作。織田演じる産業スパイが段田安則演じる研究員を殺害してしまい、身を隠したロッカーに閉じ込められたままストーリーが展開していき、衝撃的なラストを迎える。この作品は何を伝えたかったのか、ラストのシーンに込められた意味は何か、という“考察”は不要。観終わった後のインパクトに深く飲まれていくのが「ロッカー」という作品であると筆者は思う。
映画もしくはドラマを観た時に、その時間だけは現実を忘れて、上映後に「また明日も頑張ろう!」と思えるような娯楽作品と、その時点では全ての意味が分からなくても鮮烈に記憶に残る作品の2パターンで言うならば、「ロッカー」は圧倒的に後者だろう。




















