『世にも奇妙な物語』はなぜ語り継がれるのか 脳裏に刻まれる“トラウマ演出”の妙

5月27日放送の『あののオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)では、パーソナリティを務めるあのがオープニングトークとして『世にも奇妙な物語35周年SP』の話題を挙げていた。あのは、『世にも奇妙な物語 '23夏の特別編』でストーリーテラーとして、タモリと共演している稀有な存在。そんなあのが、忘れられないエピソードとして話していたのが佐々木希主演の『美人税』(2016年)、そして川栄李奈主演の『クリスマスの怪物』(2018年)だ。特に『クリスマスの怪物』に関しては、記憶が断片的ではあるようだが、“トラウマレベル”の面白さだと興奮気味に伝えていた。
ラストははっきりしないし、記憶も曖昧だけれど、“トラウマレベル”だと言い切れる、そこに『世にも奇妙な物語』の魅力があるのではないだろうか。はっきり言ってしまえば、当たり、外れも当然あり、ジャンル的にはホラー、SFだけでなく、ヒューマンやコメディーなどの作品は先述した2択で言う前者なのかもしれない。けれど、筆者にとっては高校生の頃にリアルタイムで観た『美女缶』が、今でも忘れられないエピソードとして強烈に記憶に残っている。
缶詰から美女が現れるという、『世にも奇妙な物語』では珍しい恋愛ジャンルであり、言うなればエロティックな『美女缶』は、当時の筆者にとってはセンセーショナルだった。『オレンジデイズ』(1994年/TBS系)を経た妻夫木という配役もポイントであり、この作品に関しては少なからず考察要素(品質保持期限など)はあるかもしれないが、缶詰から生まれた藤川サキ(臼田あさ美)との煌めくラストシーンは、忘れられない記憶として筆者の脳裏にいまでも焼きついている。
『恋の記憶、止まらないで』はラインナップの中では近年(とは言っても、6年前)の作品なので、観たことのある人も多くいるかもしれないが、1990年代のJホラーを下敷きにした“怖さ”だけで言えば、群を抜いている。トラウマを植え付けるのには申し分ない。そこにあるのは、短編としての純粋な面白さと自由なアイデア。世代ごとに思い出というトラウマを再び呼び起こす絶好の機会であるのと同時に、若い世代にとってはこれを『世にも奇妙な物語』の入り口にするベスト盤的な放送と言えるだろう。
■放送情報
土曜プレミアム『世にも奇妙な物語35周年SP~伝説の名作 一夜限りの復活編~』
フジテレビ系にて、5月31日(土)21:00~23:10放送
『BLACK ROOM』
主演:木村拓哉
脚本・演出:石井克人
2001年
『夜汽車の男』
主演:大杉漣
演出:鈴木雅之
2002年
『ロッカー』
主演:織田裕二
演出:瀧川治水
1990年
『美女缶』
主演:妻夫木聡
脚本・演出:筧昌也
2005年
『恋の記憶、止まらないで』
主演:斉藤由貴
演出:岩田和行
2019年
出演:タモリ(ストーリーテラー)
編成企画:水戸祐介
プロデュース:髙丸雅隆、中村亮太(共同テレビ)
制作:フジテレビ
制作協力:東北新社、カノックス
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kimyo/
公式X(旧Twitter)https://twitter.com/yonimo1990





















