ジェームス小野田×水樹奈々×栁俊太郎×浜中文一 『べらぼう』“狂歌の会”も個性派俳優揃い!

『べらぼう』“狂歌の会”も個性派俳優揃い!

土山宗次郎(栁俊太郎)

 狂歌の会に遅れて現れた土山宗次郎は、田沼意次(渡辺謙)の腹心として勘定組頭を務める旗本だ。羽振りの良さそうな姿で登場し、狂歌の会のパトロン的存在として描かれている。史実では、吉原での豪遊を重ね、後に花魁・誰袖(福原遥)を1200両という莫大な金額で身請けすることになる人物だ。

 しかし、田沼意次が失脚すると運命は暗転。権力の絶頂から転落していく悲運の人生は、今後の重要な展開となるだろう。蔦重や南畝ら文化人たちの運命にも大きく関わってくる、キーパーソンである。

 演じる栁は『ゴールデンカムイ』で二階堂兄弟のイカれっぷりを憑依レベルで演じたことも記憶に新しいが、平賀源内役の安田顕や鳥山検校役の市原隼人など名演相次ぐ『べらぼう』において、どのように栄光と転落を見せてくるか、楽しみだ。

朱楽菅江(浜中文一)

 大田南畝、唐衣橘洲とともに「狂歌三大家」の一人として名を馳せた朱楽菅江。彼の本名は山崎景基で御家人として幕府に仕えていた人物で、演じる浜中は大河ドラマ初出演だ。

 朱楽菅江は歌人の内山椿軒に和歌を学んでおり、後に狂歌集『万載狂歌集』を大田南畝と共に編纂している。作中で詠まれていた〈わが恋は 鰻の見えぬ 桶のうちの ぬらぬらふらふら 乾く間もなし〉は、百人一首の〈わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし〉という「石に寄する恋」という題で詠んだ「題詠」の本歌取りとなっていた。

 ちなみにその後に土山宗次郎が詠んだ〈来ぬ人を 待つほど恨む 夕鰻は 焼くやも塩か タレ惑いつつ〉も〈来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ〉の本歌取りであった。4人のふざけっぷりには思わず笑ってしまったが、「狂歌の会」のレベルの高さが伺える2つの歌だ。

 蔦重は狂歌の世界と出会い、新たな出版の可能性を見出した。ここのところ『少年ジャンプ』的な“夢”の躍進が続きすぎて、若干ハイになりすぎている気もするが……。

 本屋の“お仲間たち”との軋轢もぬらぬらと上手く立ち回った蔦中は、狂歌の4人と出会い、まだまだ成功をその手に掴んでいくのだろう。

参照
https://realsound.jp/movie/2025/04/post-1990473.html

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送/翌週土曜13:05~再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00~放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15~放送/毎週日曜18:00~再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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