本田響矢の大ブレイクは“必然”だった 『めおと日和』瀧昌さまに集約された2つの個性

本田響矢の大ブレイクは“必然”だった

新しいスターが生まれる土壌にこそ、次なる才能もやってくる

 ちなみに本田響矢は同じ木曜に『すぱいす。』(BS-TBS)というドラマで主演を務めている。同作では夢も特別な才能もない単純バカという新境地を演じているが、実にハマっていて、振り幅の広さを感じさせた。これからもぜひ「瀧昌さま」を演じてファンを喜ばせてほしいが、同時に「瀧昌さま」のイメージに縛られることなく、どんどん新しい役柄に挑戦し、キャリアを高めてほしい。

 また、本田響矢のブレイクは同世代の俳優を勇気づけるものでもあるように思う。これは俳優業の残酷な側面でもあるが、役との出会いがキャリアの大部分を占める。

 近年、多コンテンツ時代に突入し、深夜帯や配信、衛星放送を含めると、1クールで膨大な数の新作ドラマが制作されている。その数はいち視聴者がカバーできる範囲を超えており、残念ながら一部のファン以外の間では話題にものぼらないまま終わる作品も多い。また、制作スケジュールや予算も余裕があるとは言えず、俳優が十分に役と向き合い、演技を深めるだけの体制がとれていない現場も少なくないと聞く。

 しかし、コンテンツの量は多いので、目まぐるしく現場には駆り出される。俳優がいたずらに消費されているのではないかというファンの懸念の声も聞こえる中、それでもこうしてチャンスを掴み、一気にスゴロクのマスを進めた本田の姿は希望に映るだろう。しかもそこに、積み上げてきた出演作での経験が如実に生きているのだからなおさらだ。

 GP帯のレギュラー経験がなかった本田を男1番手に抜擢した制作サイドは英断だった。と同時に、ぜひこの成功を追い風にして、どんどん実績の少ない若手を起用していってほしい。若手のブレイクは、間違いなく業界の活性化につながる。新しいスターが続々と生まれる土壌にこそ、次なる才能もやってくるのだ。

 何より打席さえ立たせてもらえれば一気に跳ねる俳優がまだまだたくさんいる。たとえ日の目を見なくとも、いくつもの作品で彼らはバットを振り続けてきた。ホームランを打つ準備はとっくにできているのだ。

『波うららかに、めおと日和』の画像

波うららかに、めおと日和

西香はちによる同名コミックを原作としたハートフル・昭和新婚ラブコメ。昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚からスタートする、歯がゆくも愛らしい“新婚夫婦の甘酸っぱい時間”を丁寧に描く。

■放送情報
『波うららかに、めおと日和』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:芳根京子、本田響矢、山本舞香、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見ほか
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:BE:FIRST「夢中」
プロデュース:宋ハナ
演出:平野眞
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/meotobiyori/
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