『人事の人見』新納慎也が作品の“要”に 個性派キャラを軽やかにこなすパフォーマンス力

『人事の人見』新納慎也が作品の“要”に

 本作は各話ごとにメインとなる登場人物が変わる。第5話は“新納慎也=須永圭介”が主役の回だった。須永が自分のことを「人事部長」なのだと家族に嘘をついていたことが、やがて人見たちを巻き込むドタバタ喜劇へと発展していたったのだ。いつもはこの作品のアクセントだが、こういったときに演じ手の力量が表れるもの。新納はチームのトップに躍り出て、やはり柔軟かつ軽やかなパフォーマンスで魅せた。

 この回で須永が関わる登場人物の数は、過去最多だっただろう。演じるプレイヤーたちは、年齢が違えばキャリアも違う。その一人ひとりに対して微妙にプレイスタイルを変え、さまざまなタイプのパスを出し、受け取り、物語を前へと進めていった。何度も書いているように、この作品で重要なのはチームワーク。各キャラクターの感情よりも、ドラマの全体像が視聴者にとってどう映るのかがカギである。むしろ一人ひとりの演技が、柔軟かつ軽やかなものでなければならない。主演の松田元太が座長として奮闘しているところへ、新納が先輩としての背中を見せた回だったともいえるのではないだろうか。

『キャスター』©TBS

 新納といえば演劇ファンにはお馴染みの存在であり、名だたる演出家たちのもとで数々の名作誕生に貢献してきた。いっぽう、映像作品にも数多く出演しているものの、その評価は演劇シーンほどにはまだ追いついていない印象だ。『はたらく細胞』(2024年)でヴィランを“怪演”していたことが記憶に新しいが、あの“快演”をできる者が、どれだけいるだろうか。演劇人が立て続けに出演しては骨太な展開を繰り広げる日曜劇場『キャスター』(TBS系)にも登場。演劇だけでなく映像の世界でも、あらゆる作品のチームにおける重要な柱だと認識されつつあるだろう。

『人事の人見』の画像

人事の人見

古い熱血体質の残る大企業を舞台にした人間ドラマ。おバカでピュアすぎる主人公・人見廉と、会社を変えたいと願いながら日々奮闘する真野直己が、個性豊かな人事部の面々と共に会社の中で巻き起こる社員のさまざまな問題と向き合いながら、「現代人の悩み」に立ち向かっていく。

■放送情報
『人事の人見』
フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:松田元太(Travis Japan)、前田敦子、桜井日奈子、新納慎也、ヘイテツ、松本まりか、小野武彦、鈴木保奈美、小日向文世ほか
脚本:冨坂友
音楽:カワイヒデヒロ
主題歌:宮本浩次「Today -胸いっぱいの愛を-」(ユニバーサルシグマ)
演出:河野圭太、山内大典
編成企画:草ヶ谷大輔
企画・プロデュース:後藤博幸
プロデュース:橋本芙美、高橋眞智子
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
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